ミサホ

ヨーロッパ新世紀のミサホのレビュー・感想・評価

ヨーロッパ新世紀(2022年製作の映画)
4.0
指折り数えて待っていた作品。

ポスターの少年の眼差しと全体の色味。そして、ええ感じの邦題にモダンなフォント。その雰囲気がすでに観ろ!と言っている。

…ということで、観てきました。


差別を描いた作品はここのところ増えている。興味を持つ人も増えているのかな。
差別や移民排斥のきっかけというか根っこはなんだろ。不満?恐れ?

怖いのは、最初は小さいものが炎のように広がっていくところ。どんどん追随する者が現れる。そうすると、きっかけを作った人は自分の考えは正しいんだと勘違いして、益々図に乗って過激になる。

こないだ観た『福田村事件』みたい。

本作でその標的になったのは、パン工場で働くことになったスリランカ人。他国で差別を受けた人が今度は自国で外国人を差別する。ぐるぐる回って終わることがない。

煽る人、煽りに乗る人、黙る人、見ない人、戦う人、諦める人、祈る人、諭す人、逃げる人…自分の身の周りで何か起きたらどれに当てはまるだろう。

諭すべき立場の神父さんでさえ、丸め込まれて逃げてしまうってのに。

複数の民族が暮らしている地域でも、そんなことが起こるのだなぁ。言語も多様なのにそれ以上はダメなんだ?スリランカ人だから?アジア人だから?

なんだか悲しいなあ。これじゃあ、世界からいざこざはなくならないよね。人間社会の現実を目の当たりにした。
ミサホ

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