ガルベス

ヨーロッパ新世紀のガルベスのレビュー・感想・評価

ヨーロッパ新世紀(2022年製作の映画)
4.2
出稼ぎ先のドイツで暴力沙汰を起こし故郷のルーマニアに戻った妻子を持つ男とパン工場の責任者として実直に働くバツイチの女。
元は恋人だった二人の関係の移ろいを軸に、パン工場がスリランカ人労働者を雇ったことから周囲に住む村人達との間に軋轢が生じ始める。

歴史的背景はもちろん、慢性的な不況に苛まれてきた村人の不満の矛先がマイノリティに向かうのは、どの国でも現在進行形で起きていること。
差別心がなくリベラルに振る舞えるのは資本の側だったりインテリ層だったりと余裕のある者で、その構造を明るみに描いていて思考を促されると共に遣る瀬なくもさせられた。

外国人労働者を排斥しようとする側と人権を尊重する側が意見を戦わせる長回しシーンは社会派映画の趣きがあり必見ではあったのだが、ちゃぶ台をひっくり返されたかのようなあのラストは本当に衝撃。
ガルベス

ガルベス