カタクチイワシ映画レビュー

CLOSE/クロースのカタクチイワシ映画レビューのネタバレレビュー・内容・結末

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

この年頃のことを思い出して切なくなりました。私は唯のバカなアホでマヌケなガキでしたのでこんな切実な経験はしていませんが、それでも友達との友情や恋愛、性についての悩みは少なからずありました。この映画はそういったものを主人公の少年を通し、13歳という微妙な年頃をイノセンス溢れる描写で見事に描き出していると思います。

俳優陣は皆んな名演ですが、やはり主人公レオと親友(仮)レミの主演2人の演技が素晴らしいです。美少年で演技も達者とか反則。レオ君なんてとても中性的な顔立ちで最初女の子かと思ったほどの美しさ。レミはレミでレオに冷たくされると直ぐ泣いちゃって超カワイイ。

あと主人公レオの兄・チャーリーが最高。傷付いたレオにちゃんと寄り添ってくれるいいお兄ちゃん。今のところ今年のベスト・オブ・アニキですね。
レミの母親・ソフィーも良い。終盤レオが自身の罪を告白するシーン、レオにとってどれ程恐ろしく勇気のいったことか…。そしてそれは受け入れたソフィーもきっと同じ。こっちはベスト・オブ・オカンです。


テーマと間接的に関わりがあると思うので触れておくと、ベルギーの学校教育及び環境は素晴らしいと思いました(知らんけど)。見落としもあるとは思いますが、作中で見る限りネガティヴな部分が殆どない。活気があり休み時間には男女関係なくスポーツに興じ、談笑したりする。スクールカーストらしいものが全く見当たらないんですね。現在は分かりませんが、私の時代の学校のイメージとの齟齬が半端なくて素直にスゲーと関心しましたね。向こうじゃみんなこうなんでしょうか?



映画のエンディング、オープニングと同じく花畑を走るレオ。季節は流れ、顔付きも僅かに逞しくなった様に見える。でも以前にはあった最も大切なものは、もうそこにはない。
子供時代の無邪気さ、無垢であるが故の過ち。喪失と成長。見事に描き切った文句なしの傑作だと思います。とってもオススメです。