rmhチョコがけ

CLOSE/クロースのrmhチョコがけのレビュー・感想・評価

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)
4.0
観てて終始しんどいが、とても美しい作品だった。

12歳の少年の美しさ。
成長過程の心と身体。
素直な感情表現が良かった。
感情爆発寸前である表情と、爆発したときの表情がとても良い。
花畑の描写と音響も繊細で美しかった。

予告の段階でどんな話か丸分かりするストーリーだが、こういった繊細な描写は本編でたくさん味わえる。
予想以上にその描写が良かったので、満足だった。

農業に従事する家庭のレオと、楽器演奏者のレミ。
少しだけ心の成長が早かったレオは、この共同体の中では"男性的であること"が大事だと悟り、すぐに行動に移す。
一方で何にも気付かないレミは、親友がどうして自分を避けるようになったのか分からない。
完全は対比ではないけど、ここから生じるズレから悲劇が生まれる。

全然違うけど、夏目漱石の『こころ』の先生を思い出した。
彼の自死は、自分に責任がある。
真相は自分以外誰も知らない。

でも「何か残したかな」よりも先に「苦しんだかな」が出てきたり、「会いたい」という台詞から、やっぱりレミはレオにとってかけがえのない大切な存在だということが分かる。

喪失感の中、レオがお兄ちゃんに甘えるシーンが度々入るが、それはレオとレミ並みの親しさで描かれている。
兄弟なら自然なのに、親友だったら不自然で許されないの?っていうメッセージのような気がした。

一生十字架を背負って生きていくことになるレオだが、ラストの描写はそれが十字架になるのかは分からないと感じた。

ホッケーとかの"男性的な"世界観と、レオが本来大切にすべきだった世界観の切り替えがけっこう多く唐突だったから、たまに置いてけぼりを喰らうが、これは監督の意図なのだろうと思った。

面白かった。