劇場2023-57 DENKIKAN
劇場のポスターにスタッフの手書きのコメント「カンヌが泣いた」、、、
スタッフの心意気が伝わってくる。
そういえば、このところ泣く系の作品を観ていない。カンヌではないが泣こうではないか
タイトルの『CLOSE』
閉じる、終わらせる の意味か?
親密な、(関係が)近い の意味か?
レオとレミは大の仲良し。子犬が戯れ合うようにいつもくっついて、転げ回って、何をするにも一緒。
そんな中、二人は中学に進学。一緒に通い、休み時間も放課後もいつも一緒。
中学といえば思春期の始まり。周りの子から二人の関係を揶揄われてレオはレミにちょっと冷たく当たる。
(うーん、わかるよ〜友達に揶揄われるのってなんかイヤだものねー、、、)
一方、レミはとても感受性の高い子。レオの気持ちが理解できない、、、
(うーん、わかるよ〜、あんなに仲良かったのにレオったらなんでさ、、、と思う気持ち)
この感情が拗れ、二人は大喧嘩!思春期の入り口に立った子、二人の感情は複雑に絡み、解くのは容易ではない。
そして事件は起こる、、、
レミを突然失ったレオは、時が経つに従って罪悪感に苛まれる。そしてついに、、、
と言うお話。
昨今LGBTQという観点にフォーカスした多くの作品が世に出ているし、本作をその観点から見る方もおられるだろうが、本作はそれと同一視してはいけないのかな、と思う。
もっともっと人間の本質を突いた、業というか、なんというか、、、そういったものを描いていると思う。
誰もがこんな、なんとも言えない感情、そして人間関係における後悔を持ったことあるだろうし、観る人がそれぞれ昔仲良かった友達の顔を思い出すだろう。そして心の中であやまったり、語りかけたりする、そんな作品。
そして、本作のレオは監督が電車の中でスカウトしたらしい。ビビッと来たんだろうねぇ、とにかく美しい。
そしてそのレオに合わせる形でオーディションし特別な何かを持ったレミをキャスティングしたそう。
兎にも角にもこの二人の演技、表情が素晴らしい!
この二人の関係性のみならず、家族、フランスの花卉農家の風情、田舎道、光、全てが美しく描かれている。後期印象派の絵画のような絵柄の作品でした。
レミのオーボエうまい!あの年齢であれほどの腕は普通ないだろう、、、
傑作!