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CLOSE/クロースのmemのレビュー・感想・評価

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)
4.0
曖昧でぼんやりと、それでいて耐え難く鋭いモヤモヤが張り付いて消えない。目を背けたくなるほどの愛おしさとかなしみ、重たい罪と責任。
愛と友情はどう違う?その「好き」はどんな「好き」?僕は君を「どう」愛している?例えカップルなのだとしたら、それの何がいけないの?自分たちで守らなければ脆く崩れてしまう国を、説明できる言葉を持たない彼らは果たしてどう優しく守っていけばいい?
怪我は時間が経てば治るし、花はまた植えればいい。でも命は還らない。忘れることなどなく、だから"思い出すこと"もなく、常にこの喪失感と共にレオは生きてゆくのだろう。
かなしみを湛えた瞳の表現、子供ゆえの無垢な心象表現が素晴らしかった。そして出てくる大人たちがみな良かった。。
それと、子供たちは押し付けられるのとはまた違う形で「男の子らしさ」、「女の子らしさ」に自ら当てはまろうと己の行動を導いている様がうまく描写されていた。

はっきりと何か言葉にしないからこそ伝わるどんよりと重苦しく拡がる痛みが濃い作品でした。
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