ぺち

CLOSE/クロースのぺちのネタバレレビュー・内容・結末

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

@逗子海岸映画祭 にて🎞️🌊🌇✨


あらすじを読んだ段階で予想はついてしまったので、序盤から先の展開を想像して泣いてしまったし、
全体を通してずっと涙が溢れて止まらなかった、帰り道も思い出し泣きしてしまった、
外で見るもんじゃねぇ…と思ったけど多分みんな泣いてました、

本当に苦しくてたまらないし観ていてどうしようもなく辛い気持ちに襲われる映画だけど、
一人でも多くの人にそれでも一度は観てほしいとおすすめしたい、素晴らしい作品でした、


不安定さ、不完全さ、危うさを抱えた思春期特有の、友だちの中でちょっと枠から浮いていたり周りと比べて“変”(に見える)子をからかいたくなったり、あるあるだよね、仕方ないよね、
って、確かにそれもそう、まだたった12歳の思春期真っ只中の子たちが互いにぶつけ合う言葉や相手と関わっていく上での態度に、
この子のこれが悪かった、あの子のあれが良くなかったとか、そんな風に一概に善悪で叱るのは難しい
、感情に正しいとか正しくないとかは確かにない

それでも。これは思春期の子たちに限った話じゃなく、大人にだって同じことが言えるからこそ、大人にこそ見てほしいと思った、
何を思ってもその人の自由だけれど、それを言葉で誰かに発した場合、例えその言葉を発した側は悪気なく発言していても、受け取り手の感じ方次第ではその言葉は“棘”にも、“毒”にも、時には“呪い”にもなりうるということ、
私たちは互いに例外なく自分以外の人間は“他人”同士で、側から見て何かをわかったつもりになることや勝手に決めつけることはできないということ、


この映画のレビューで、レオとレミの関係性が友情なのか愛情なのか、とか、同性愛の話、とか書いているものもあったけど、
私はそうやって結局本当のところは2人にしか分からない関係性を外から見ただけの、推測の域も出ない他人が言葉に当てはめようと、決めつけようとしてしまうその事自体にこの作品は警鐘を鳴らしているようにも受け取った、
そこの定義づけはこの作品において重要じゃないと思う、

子どもに限った話じゃない、大人もこの社会全体も、何かと“言葉”に当てはめたがるし、普通という“枠”におさめたがる、
思春期の子どもたちが分からないことを教えなければいけないのは私たち大人なのに、大人だって全然お手本になれてないよ、
子どもだから仕方なかったことだ、とか、思春期ならではの、とか、ただ“子どもたちの間で起きた悲しい物語”として他人事のようにこの映画が消費されてしまわないか不安、


「悲しみに、こんにちは」とかを観た時も感じたことだけど、台詞は最小限に、レミやレオを演じる子どもたちの表情や眼差しから伝わってくるものを監督が信じて作っているような作品だったので、それがすごく好きだった、
台詞が少なくてもレミやレオの表情や2人の間に流れる沈黙、もうそれだけで充分すぎるくらい伝わってくるものが多すぎて、
心理描写がとにかく丁寧で繊細な演技に感情移入ができすぎてしまった分本当に苦しかった、これは2人の、特にレオ役の子の演技力の素晴らしさに尽きると思います、
腕を怪我して包帯巻いてる時にワッと泣き出してしまうシーンとか本当に忘れられないけど、あの真っ直ぐな瞳、眼差しだけを映したシーンが何度もあってラストまであの眼差しが心に残った、目だけで伝える演技が凄かった、

レオに、あなたは悪くないよ、って、レミのお母さんと一緒に心の中でレオのことを抱きしめました、
色んな葛藤と闘って、僕のせいだ、とレミのお母さんの前で涙を流しながら言ったレオ、あなたは強い、どうかそれほどまでちゃんと大切に想っていたレオの気持ちがレミに届きますように、12歳で背負うにはあまりにも大きな痛みと苦しみすぎて胸が張り裂けそうだけど、きっと、レオなら誰よりも柔らかくてつよい大人になれるよ、
 

“怪物”と比較している人も多いみたいだけど、作品全体としてみた時に、比較対象という感じよりは似て非なる作品ではあるかなと私は思った、田園を走り回ってるシーンとか絵的な部分で思い出したくらい、
(似てると引き合いに出してしまうことでこの2人の関係をカテゴライズして決めつけて観てしまう人がいるのであればそこは線引きが必要なのではと思ったり、、)
ぺち

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