おまつり

私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスターのおまつりのネタバレレビュー・内容・結末

3.4

このレビューはネタバレを含みます

監督の上演後トーク付きで鑑賞。お話充実すぎて楽しかった~~~!
お話聞かなければ自分には難解すぎたな…と評価しづらかったかもしれない。というか質疑応答の客席インタビュアーのみなさんが的確すぎたというか。おこぼれにあずかりました🙏🏻✨

まずこれは単純に感想なんですけど、わたし自身も家族のことは好きだけど(正確には「嫌いになれない」けど)「家族が好き」な理由ってないんですよね。なにか理由があって「だからうちの家族好きなんだよね!」って友達に話すことは今後もないでしょう。それと同じことな気がする。愛する理由がないように、憎むことに明確な理由もないこともあるのではという。あれ?それってイヤイヤ期ならびに反抗期?

「大嫌いな弟」について、この映画の感想として「で、なにがそんなに嫌いだったの?ケンカの原因は?」とすっきりせずよくわからなかった、と評価を下げてしまうかもしれません。
でも、よーーーく考えてみたら、他の人がやってる分には(どうでも)いいけど、家族だから嫌!みたいなこともあるよね。家族だから許せることがあるように、家族だから許せない。説明し難い感情と、加えてアリスたちのお父さんたちがすごく“いい人”そうな描写から始まるのも肝かなと感じたりしました。
子どもは親の言葉って一生のことになるから、よそからはいい人そうな父母に見えて、不仲の種を撒いていたのは父母でもあったという話かもしれない。

監督曰く、アリスが弟に言った「大嫌い」は下僕のように思っていた弟が脚光を浴びたことへの嫉妬交じりの冗談のようなもの。でも口に出してしまったらだんだんと現実になってしまった。
幼い頃の兄弟喧嘩のように、きっかけさえもう思い出せないようなちいさな始まりから、形だけが残ってしまったのかな。

現にルイはアリスの嫌いなところを話し父親をも攻めるけど、アリスは一貫して無視したり「会いたくない」としか言わないんですよね。アリスが嫌いと言わなければルイも攻撃的にならなかったでしょうし。
これについて思ったことは、弟のことが「大好き」すぎて、好きになっちゃいけない、と自覚するために言った「大嫌い」だったのかなぁ?とか思ったりしました。
だって和解したあとルイが素っ裸になってアリスの布団に入るんだもん(笑) 弟のほうは意識してないからこそできる行為かなと思うからこそ、アリスの言動はやっちゃってもよかったように感じた。

このシーンについてではないですが、監督トークで過去作の父親から娘へ手紙について、あれはラブレターというより近親相姦というかレイプのようなもんと表現されるのを聞いて、あながち的外れでもないのでは?と思ってみたり。

監督トーク大変面白くて、映画監督には2種類のタイプがいて、人の作品は観ない監督と、観る監督。アルノー監督は「観る派」そしてたくさん観た映画を思い出にして自分のこやしとして作品に出すと仰ってました。客席や進行の方の「このシーンはあの作品のここが思い浮かんで~」って言われたら、クリエイター的には「𓏸𓏸に似てる」とかって禁句かなと感じるところ、監督は「でしょでしょ!わかる?」と本当に嬉しそうにされてるのが印象的でした☺️映画オタクや~!とりあえずマトリックス大好きなのが伝わった笑

アリスの出待ちファンについても書き留めたかったのに長くなっちゃったな!
雨に濡れながら出待ちしてたら推しとゴハン行けるの?!と羨ましくなったんですが(え)、実はあれはアリスの妄想かもね(だってアリス以外誰とも絡まないでしょ)と監督に聞いて、はぁ~~~!と唸りました。そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。けど、確実にアリスの救いのための存在だったということ。
わたしは映画を考察しながら観ない(すべて事実として顛末を見守るのが好き)のですが、考察派のみなさんの楽しみ方がちょっとわかった気がする作品でした。

あっあと監督のアンサーで面白かったのは、「人物のアップが多いのは?」という質問に対し「(俳優の顔が好きなので)酔いしれたいから」とのこと。トーク、本当に良すぎました!!
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