Sari

私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスターのSariのレビュー・感想・評価

3.5
姉と弟の愛憎劇。

姉アリス(マリオン・コティヤール)は舞台女優として活躍し、弟ルイ(メルヴィル・プポー)は教師をしながら詩を書いていた。賞に落選し続けたルイが受賞したのはようやく10年後。名声を手に入れたルイだったが、同時に姉との関係に亀裂が生じることになる。

長年にわたり互いに憎しみ合い疎遠だった姉弟が両親の事故によって再会を余儀なくされ...。不仲の原因が明確に示されることなく、激しくぶつかり合う感情の渦が描かれる。当の姉弟さえ不仲の原因を見失っているかのようで、ただ憎しみに囚われている様が痛々しい。

本作について、カサヴェテスの影響をデプレシャン監督自身が語っていた通り、アリスは精神が不安定で、彼女の大ファンで田舎から出てきた娘が出待ちをするシーンは、『オープニング・ナイト』を思わせる。また、カサヴェテス的でありながらベルイマン寄りのウディ・アレン味をも感じる。悲劇とメロドラマの中間といったところか。監督はウディ・アレン作品では『私の中のもうひとりの私』が好きと語っていたようだ。
Sari

Sari