吉良貴之

ブロークン・イングリッシュの吉良貴之のレビュー・感想・評価

3.6
パリの教会のなかでヒロインが火をつけたろうそくのような、細長い線が画面のあらゆるところに不安定に立っている。それぞれは支え合っているふうでもなく、不自然な角度に折り曲げられた肘や膝のように、これといった均衡もないままに画面を作っている。そういえば出てくるキャストもほとんど全員、面長で、ずいぶんとほっそりとした人ばかりだ。そうした、あやうげに伸びる縦の線が、どこかでふっと交わって、しかし次の瞬間にはそのまま倒れてしまいそうなはかなさを残して映画は終わる。
吉良貴之

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