バンバンビガロ

トリとロキタのバンバンビガロのレビュー・感想・評価

トリとロキタ(2022年製作の映画)
3.5
アフリカからベルギーに逃れてきた難民の姉弟トリとロキタの悲愴な生活を描くドラマ。
劇映画的な演出を極力排除した硬派でドキュメンタリー的なスタイルの映画で、細かい状況の説明などはほとんどなく、カメラもひたすらにトリとロキタにだけフォーカスし続ける。
劇中に楽しいことは全く起こらず最低の描写の連続と最悪のラストで終わる非常に後味の悪い映画であることは間違いない。
この映画においてトリとロキタの二人が迎える最悪の結末を回避できたのではないかと思わせる場面が二つあって、一つはビザの認定を拒否される場面で、もう一つが最後の逃走のためにヒッチハイクを試みる場面である。もしビザの申請が認められていれば、もし通りかかった車が二人を助けていればこの物語の結末は違うものになっていたかもしれない。それを考えさせることが本作の狙いの一つであると思うし、これはそのまま現実社会における制度の問題と個人の無関心、道徳心の欠如を糾弾しているようにも感じる。
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