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クライムズ・オブ・ザ・フューチャーのsiのレビュー・感想・評価

3.7
同タイトルの作品を2つ作るな混乱するだろうが…と思いつつ、まさにそれがデヴィット・クローネンバーグらしい
人間ってある程度自分の根底にある性的な部分(フェティシズム)はあまり変わらないし、彼の作品に含まれるセクシャルな部分って一貫してる
だからこそタイトルだって同じものを2つ作ったりする
わかるよ…気に入ったフレーズとか何回でも擦りたくなる

私はすごく好きでした。
近未来として想像できる世界とフェティシズムの融合
人間が溢れる情報社会の中で刺激に飢えているその上でさらに身体的痛みを感じなくなったらこの映画のような世界が広がるだろうと思う
すでに1960年代頃から体を切ったり穴を開けたり改造するパフォーマンスはアート界に生まれていたけど、彼らが何を思い何を訴えるために己の肉体を使ったのか
この映画の中でソールというそれらしい名前のヴィゴモーテンセンが何を思い、パフォーマンスパートナーのカプリスが何を考えこのパフォーマンスを行なっているのか
それがパフェのトップにあるアイスだとしたら、それより下にあるクリーム、ケーキ、フルーツ、ジェリーのようにクローネンバーグのフェティシズムとアート界に蔓延る刺激に飢えた獣達の感情が溶けて混ざり合いドロドロになった様子を見ることができる

不思議なのは、このフィーリングワールド全開な感じと社会的に将来起こり得そうな要素が両立しているところ
冒頭に書いたようにクローネンバーグの「変わらなさ」に対して、今回のテーマは「変容」であるところも重なってめちゃくちゃ面白い
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