ロアー

クライムズ・オブ・ザ・フューチャーのロアーのレビュー・感想・評価

3.8
公開前から「きっと地元では上映がないだろうけど、何とかして観たい!」と言い続けていた「クライムズ・オブ・ザ・フューチャー」を何とかして観てきた。
ヴィゴのファンとして、クローネンバーグ監督とのタッグ作は一度でいいから劇場で観ておきたかった。監督ももう80歳だそうだから、あと何本ヴィゴとタッグを組んで映画を撮れるか分からないし(いっそ開き直ってずっと大好きなヴィゴを撮り続けて欲しい)。

私がそういう目で見ているせいもあるだろうけど、とりあえず極めて性的なヴィゴだった。ほぼほぼフードで顔も体も隠してるのに、内臓は見せちゃうのが倒錯的というか、劇中でも明言していた通り新しいセックスだった。
クリスティン・スチュワート演じるティムリンが、口だけじゃなくヴィゴの内臓にまで舌をツッコミそうな勢いだと思っていたら、違う人が突っ込んでたし...なんかもう、みんなしてヴィゴ演じるソールに夢中になっていて、そういう感じではない人からも「多産だな」とかセクハラ発言されてて、これで性的と言わずに何と言ったら?レア・セドゥの裸もめちゃくちゃ美だったのに、内蔵まで晒したのはヴィゴの方なので、そういうことです。

クローネンバーグ監督の変態っぷりにすっかり慣らされてしまって疑問に思わなくなっていたけど、普通なら機械的なはずものが全て生物的なのも冷静に考えると何なんだろう?あれ。フライヤーに出ていた骨みたいな機械は、まさかの朝食を食べるためだけの機械?だったし、ベッドも何もかも全部居心地悪そうで未来って辛いな。

社会問題的テーマはちゃんとあったものの難解で分かりづらいし、監督のフェチシズムを満たすためだけの映画にも思えてしまったけど、結局、営利目的を取っ払ったら映画ってみんな監督の公開フェチズムみたいなものか(極論)。
でもパンフをさらっと読んだら、ちゃんとヴィゴも監督からのオファーを断ろうと思えば断れるらしい。仲良しだろうと、監督と一緒なら何でもOKな訳じゃなかった。とはいえ、これまでの監督からのオファーでヴィゴが難色を示した例としてパンフに載っていたタイトルが「え、よりによってそれなの?他にもっとなかった?」と思う映画だったし、ヴィゴもこれまで食人行為=セックスと解釈して演じてきた過去が私の知る限り2回ほどあるから、なんだかんだやっぱり監督とお似合いなんだろうな。それでいて、ヴィゴ初監督作品で監督も友情出演している映画があの変態要素皆無なヒューマンドラマの「フォーリング」でしょ?もう分からん。アーティスト肌の人たちってホント奥深くて分からん。

とりあえず、ラストの目に光が宿るシーンは圧巻の演技力だった。
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