リプリー

クライムズ・オブ・ザ・フューチャーのリプリーのレビュー・感想・評価

4.0
キャリア(作品数)が多い監督の入門編として何を勧めるか……それは最新作だ!という意見を聞いて、なるほどと思ったがこれまたそれを裏付ける作品に出会ってしまった。

とは言え確かにここまで肉体をテーマにした作品を撮るのは久しぶりのようだが…。

肉体(人間)が進化し、痛みを感じなくなった世界。
ヴィゴ・モーテンセン演じる主人公に至っては定期的に新しい臓器を生み出している。
僕自身ふと思うことだが、毎日内臓が当たり前のように動いていて、血液は常に体を駆け巡っていて、今日と明日の細胞は別物なわけで、こういう肉体、人間の体は別に内臓を生み出していなくともやはり気持ちが悪い。

話がそれた。
この映画では、そんな世界である種の娯楽と化している“ショー”が描かれる。この“ショー”がたまらなく面白い。
パートナーに体をかき乱される瞬間、確かにエロい。痛みが伴わない中、体を痛めつける行為は背徳的であるからこそ恍惚とした気分を味わえるだろう。
見る側もそれは見たいに決まってる。
あの子どもの“ショー”は早く見せろ!と思ってしまっている自分がいたほどだ。

そんな訳でこの映画、ここ最近見た中だと体感時間が一番短かった。まぁ、実際に短いのだけど。

ちなみに僕が初めて見たクローネンバーグ映画は「イグジステンズ」で、いまだにそれが一番好きだったりするのだが、久しぶりに見返そうにも配信がない…。これだから配信は…と好きな映画のBlu-rayやDVDは即買う。そして簡単には売らない。と心に決める今日このごろ。