李

クライムズ・オブ・ザ・フューチャーの李のレビュー・感想・評価

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クローネンバーグ(子)の映画はなんだか2本とも映画館で観ているですが、クローネンバーグ(父)の映画は初めて映画館で観れた。パッと見の印象で勝手に、クリーチャーを口から生み出す近未来の話かと思っていたら全然違った。ワールド炸裂すぎて随所で笑けてしまう。ただこの変態性は美しく見えてくるところもあったり(ソールとカプリースがサークに横たわるカットとか、レアセドゥが常時綺麗)、すけべだ...やっぱり何見せられてんだこれ...となったり、一作品としてかなり楽しい映画体験だった。目と口を縫い付けた耳を傾けようマンみたいな現代アート的キャラもっと見たかったかも。

痛みの存在が消え、人間の進化がアートや娯楽として消費される未来。真面目に見ていたつもりなのに後半置いてかれてしまったけど、その分からなさもまた一興。変化していく地球で生き残れるよう適応していく人間の身体が神秘的で、いつかこんな未来も一択としてあるのかなーと、、現時点で少数派の進化(今作内だとプラスチックを食す)が暴走として捉えられるのは(この認識で合ってるのかが微妙だけど)、出る杭は打たれるみたいな感じで異質は排除する人間の性なのかもしれないし確かに脅威として捉えられるのは不可抗力だと思うけど、適応能力目線だと進化から抗ってるし難しいところ... 現在の人間の姿を保つことが正しいことなのか、変化を受け入れていくことが悪いことなのか、逆も然り。こういう投げ掛けしてるのかなと個人的解釈。それより何より劇中で1番不可解だったのはジャケ写の椅子です。クリステン・スチュワートのキャラが一推し。1番まともそうに見えて1番闇が深そうで、役が似合ってた。クローネンバーグ(父)御歳80歳、まだまだ変態映画を世に輩出してほしい次第です。
李