機器類の有機的なデザインがグロテスクで見ていて楽しかった。
ポスターにもある器具は摂食障害により自力で咀嚼できなくなった人間をサポートする装置で、この食事シーンがいちいち苦しそうでディストピアの雰囲気をいい具合に醸し出してた。
(文の最後の方ネタバレあり)
歪な揺りかごのようなキモいベッドから起きて窓からの日差しを浴びても全然清々しくもなく目覚めがよさそうじゃないのもなんか良い。主人公は常に体調悪そうだし。
ミステリーサスペンス調なのはいい意味で予想外だった。
人間の進化を促進させたい集団、阻止したい政府。どちらも全然善人じゃなさそうで、促進派は芸術をプロパガンダとして利用しようとしたり、アーティスト自体もスパイとして体制側に通じてたりする。
混沌とした中で生まれた「プラスチックを食する子供」は自然発生的な存在なのか、はたまた作為的な陰謀の産物なのか。
ラストシーンで主人公が新人類()だけが消化できる猛毒のチョコバーを食す。
例えもしそれによって死ななかったとしても、彼の持つ消化能力が偶発的に得た新たな力なのか、何者かの策略によって仕組まれたものなのかは判然としない。
意味深長で余韻があるいいエンディングだった。