ツクヨミ

クライムズ・オブ・ザ・フューチャーのツクヨミのレビュー・感想・評価

2.2
クリーチャー要素はないがグロテスクたっぷりな異形臓器と近未来SFの旨み。
デヴィッド・クローネンバーグ監督作品。旧作祭りの果ての最新作にやっと辿り着き見に行ってみた。
まずオープニング、いかにも宇宙船な機体が浮かぶ海で佇む少年.夜が来るといきなりプラスチックゴミ箱をポリポリ食べ出すビジュアルがいかにもクローネンバーグでニッコリする。そして唐突なバイオレンスなショックなイヤーな感じな味付けだ。
まあ本作、近未来SF社会で痛覚が消えた人間たちが生きている時代の設定になっており、そんな痛みの無さを逆手に取って謎新臓器を摘出する手術パフォーマンスで人気な二人組みの話になっている。言葉ではわけわかめな話なんだがまんまビジュアルで成立してしまうクローネンバーグ力が炸裂、グロテスク機械と人体描写がやっぱり良いなと改めて感じるクローネンバーグの旨みたっぷり。
しかしストーリーというか展開はわりかし地味めで、結局はタイトル通り犯罪ものなんだがラストは人間の進化というSF的進化論に切り替わるみたいなのが良い意味でも悪い意味でも着地していき羽ばたく最後になっていく。面白いことは面白いんだがなんか物足りないと感じる要素もあるし、結局は近未来SF世界観とビジュアルにしか魅せられなかったなーという感想しか出てこない気がした。
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