はしご

クライムズ・オブ・ザ・フューチャーのはしごのレビュー・感想・評価

3.5
観た後でこの映画が何をどうしていたのかまだ理解できていない。
たとえば『ヴィデオ・ドローム』は拡散するビデオによる暴力や性を取り込むことで精神だけでなく肉体まで変質してキャンサー・ガン(腫瘍銃)が腕から暴力性として出てくる、という強烈な視覚的わかりやすさがあったと思うのだけど、今作品はいったいどういうボディホラーだったのだろう?と考えると繋がりそうで繋がらない。
人から痛みが消えた世界、プラスチックを食べれる世代の子供、有毒物質を食べれるように身体改造したラングの組織、組織を追う殺しも請け負うライフフォームウェアの職員、新しい内臓犯罪を取り締まるニューバイス、身体改造や公開手術を繰り広げる場としての内なる美コンテスト……そしてアーティストにして潜入捜査官の主人公と助手の執刀医。主人公の体内で日夜新しく生まれる内臓は新世代の子供の内臓とおなじく毒を代謝することができる内臓だったことが、けして無意味に機能しない内臓を造っていたわけではなく、一種の適応としてこの世界に合わせて生まれてきていたのだ、それを腫瘍として切除していた……という罪悪感が子殺しの罪と共鳴するんだろう、と、そういう感覚的な理解をしている。
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