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クライムズ・オブ・ザ・フューチャーのmikanmcsのレビュー・感想・評価

4.0
昔から「インモラルでグロテスクでヤバいもの」で楽しませてくれるクローネンバーク監督ですが、最近は枯れてしまったのかな~なんて思っていたら、とんでもない。久々にテーマもビジュアルも過激でダークな傑作を届けてくれました。この映画、まじでヤバいです。

人類から痛みの感覚が無くなった近未来。「臓器アーティスト」が自分の肉体で新たな臓器を作り出し、その摘出をショーとして見せる世界。臓器の創造が人類の進化に悪影響を与えぬよう取り締まる政府機関。あまり細部まで語られないので物語としては難解ですが、悪夢のようなビザールな設定が斬新。

骨を模った食事のための椅子、芸術的なフォルムの人体解剖用マシン、グロテスクな手術用アーム、摘出される異常に進化した内蔵。。。etc 登場する小道具のビジュアルも悪魔的な魅力があり、眼が離せません。「戦慄の絆」の狂った手術道具群を思い出しました。

監督お気に入りのヴィゴ・モーテンセンと売れっ子レア・セドゥも「こいつらだったら、やりかねないな」と思わせるようなうまい配役でした。

アメリカを去ってからのここ数作は正直なんかイマイチでしたが、そんな不満を吹き飛ばす過激な快作でした。いや~、エグい。クローネンバークはやっぱ、こうでなくっちゃ!
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