くぅー

聖地には蜘蛛が巣を張るのくぅーのレビュー・感想・評価

聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)
3.8
“神の見えざる手を目撃するだろうさ。”

»イランの聖地マシュハドで2000年から約1年間に16人もの犠牲者を出し“スパイダー・キラー事件”と呼ばれた、娼婦連続殺人事件に着想を得たサスペンス…ある女性ジャーナリストが犯人探しへと決死の覚悟をするのだが。

はい、この邦題に惹かれて、あのドラゴンタトゥーなミレニアム系の中東版かと思いきや…生々しい描写はあるので要注意ですが、原題“Holy Spider” がしっくり来る余韻でしたね。

そう、ミソジニーなる女性蔑視がスゴくて、イスラム教の保守的な土地での話ですが宗教とはまた違う本質を見せ、家父長制が強かった日本だってとも思えたし…それよりも最近の私人逮捕を都合良く解釈しての某YouTuberらやコロナ禍で現れたマスク警察等の、間違った正義感の暴走と同調の異様さかと。

よって、本作だとむしろ終盤、人間たちの怖さが蜘蛛の巣のように随所に見られ…キャスティングも然り、ラストも静かなえげつなさで、したたかなアリ・アッバシ監督にニヤリ。

なお、キャストでは、まずはザーラ・アミール・エブラヒミ…曰く付きだと後で知りましたが、大変お疲れ様でした。
メフディ・バジェスタニ…独特な狂気を見事に体現。
さらには、アーラシュ・アシュティにフォルザン・ジャムシードネジャドらのサポートも良き。
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