叫び

聖地には蜘蛛が巣を張るの叫びのレビュー・感想・評価

聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)
4.2
倫理観や価値観の絶望的な違い。彼らにとっての正義と我々が信じたい正義。けっしてわかりあえない考え方に絶望する。街の浄化の為にアラーの意思で次々と娼婦を殺していく主人公。犯行がバレて逮捕されても神の意思でやったから無罪だと主張する。家族も英雄扱い。死刑執行の時に首吊り台の前に扉を出たらクルマが待ってる、と笑いながら耳打ちするハジ。ムチ打ち100回の刑はフリだけ。いざ首吊り台の前に連れてこられる。クルマなど待っていない。絞首刑が執行された。真に怖いシーンはビデオカメラの映像。幼いむすこが父親の犯行手段を細かく笑顔で解説。なんならサツガイする時の状況を幼い妹を相手に実演。父親に正義があったことを1ミリも疑っていない。イスラム圏で売春婦が増えたのは誰のせいなのか?サダムフセインのせい?新米政権樹立と油田開発の為に積極的に資金援助をした大統領親子のせい?歴史的宗教的背景を考えると真の悪人の名前がいくつか浮かびます。我々の知るイスラム圏の情報はキリスト教圏の国によって翻訳されて伝わってる、ということだけは絶対に忘れてはいけない。ひさしぶりにズッシリ重い映画を見た。
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