櫻子の勝手にシネマ

聖地には蜘蛛が巣を張るの櫻子の勝手にシネマのレビュー・感想・評価

聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)
3.5
『ボーダー2つの世界』『マザーズ』のアリ・アッバシ監督作品。
イランの男尊女卑社会を背景に、女性ばかりを狙うシリアルキラーを追いかけた実話がベースとなっている。

イランには行った事はないが、この国にはこういう奴が実際いるんだろうなぁ…と思うような差別的な嫌な男が大勢登場してくる。
終始女性蔑視ストーリーが続いて胸糞悪くなるのでその点が苦手な方にはオススメしない。
基本、セクハラは当たり前。
女性が1人でホテルに泊まるなんて以ての外、売春婦は人間以下というのが当たり前のような社会なので、シリアルキラーも自分は社会貢献していると自負している有様である。
自らを100%正当化できる殺人鬼ほど恐ろしいものはない。

この作品は観ていて楽しいとか興奮する映画ではないが、イランの文化や社会背景が見れてジワジワした恐さを感じた。
ジャーナリストの女性が警官にホテルで襲われそうになるシーンは実際にありそうだし。

スローでエンタメ要素が低く、犯人は最初から分かっているので予想外の展開とかはない。
ラストは犯人の息子に差別や偏見が受け継がれていく…といった余韻を残し、新たなシリアルキラーの誕生を匂わせる演出になっている。

主人公の女性ジャーナリストのキャラ設定が不十分なので印象がイマイチ。
犯人のおっさんが主役といったほうがいいかもね。