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聖地には蜘蛛が巣を張るの42のレビュー・感想・評価

聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)
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すごくすごく怖かった。何回か肩がガチガチになった。体験させられているような、すぐそこまで危険が自分の身に迫ってきているようなヒリついたリアルな恐ろしさ。思想・宗教の違いでは済まされない。恵みの水さえ見誤っている。神の意思?因果応報では?全ては回帰する。

アリが鼻を啜っているのも、彼がまだ善悪に対する考えが幼いせいで周りに流され、倫理観を自分の中で確立できていないところも、あることについての"迷い"も全部怖い。アリに関することだけでもいくつも怖いところが出てくる。
遺族やサイードの家族の考え、特にサイードの家族の考えにびっくりする。どんな理由があっても許されないだろ。

神を自分たちの良いように勝手に解釈し利用しているとしか思えない。これは『裁かるゝジャンヌ』のときも思った。神は肯定も否定も伝えてこない。

何の躊躇いもなく殺しておいて、自分の立場が危うくなった時同じことを口にする傲慢さ。
戦争への考え方とか狂った倫理観、ありふれた男尊女卑、治安の悪さ、一つひとつ違う怖さが散りばめられている。
連続殺人事件が起こる韓国の映画はいくつか観たけどこういうのは初めてかもしれない。
「街を浄化する」は口実だったのがラヒミで証明されたようなものなのに誰もそれを言及しない。最後の最後まで怖い。一つを潰したところで根本的な解決にはならないという恐ろしさ。

『ボーダー』のアリアッバシすご。

"人は避けたいことと出遭うものだ"
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