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あちらにいる鬼のmidoredのレビュー・感想・評価

あちらにいる鬼(2022年製作の映画)
2.3
不倫する男女と正妻の苦悩を淡々と描いたお話。どう考えても長すぎます。最初から最後までずっと苦痛でした。Z級映画でもこんなに残り時間を確認したことがないくらいです。

もちろん、リアルな男女の仲なんて、多かれ少なかれこうした愚かさ汚さをはらんだ泥臭く起承転結もない地獄のネバーエンディングストーリーではあります。陳腐な話だったとは思わない。

ただ、フィクションでソレをそのまま見たいかと言えば話は別なのです。どんなにそれらしい解釈をつけて、それらしく演出されていても、疲れるものは疲れます。愚痴を聞かされるくらい疲れます。しかも2時間も!

俳優さんがそれぞれの役を見事に演じ切っていたのも疲れを倍増させる要因でした。

特にトヨエツ演じる昭和左翼作家のダメ男ぶりがうますぎて、気色悪すぎて、ほとんど悪夢のレベルでした。広末涼子演じる奥さんの最初のシーンが地獄の一丁目と言う感じで、それ以降ずっとこの作家先生の「地獄の下半身暴走劇場」。

タイトルの「あちらにいる鬼」がなんのことなのかいまいち分からず見ていましたが、社会正義を語り、右翼作家をボロクソにこき下ろしながら、自分は手当たり次第に不倫して、大勢の女たちを苦しめていたこの作家先生以外に鬼はいたか?と、血のようなタイトルロゴを見て思い至りました。

そういえば小梅太夫みたいな女装でストリップを楽しむ真顔のトヨエツは、鬼というにふさわしい禍々しさでした。最後にあの世へ逝ってくれたからタイトルが「あちらにいる鬼」とか?違うかもしれませんが。

男色家だった三島由紀夫の方がまだ女性にとっては安全な人物だというのが皮肉です。
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