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ゴールデンカムイのTSのレビュー・感想・評価

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)
2.3
【こんな展開ならドラマでやってしまえ】52点
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監督:久保茂昭
製作国:日本
ジャンル:アクション
収録時間:128分
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 2024年劇場鑑賞2本目。
 軒並み高スコアが多いので言いづらいですが思ったことをすみませんが躊躇なく書きます。結論としては、中身は所々光るところがありましたが、一つの映画としては不完全。というか近年稀に見るほどの微妙な終わり方であり遺憾であります。原作未読であるため、むしろこの映画を見てから原作を読んでいこうかなと思っていましたが、完全に読む気が失せたくらいでした。では何がダメだったのか。後半で自分なりに述べたいと思います。

 1904年の日露戦争。最大の戦場と言われた二百三高地の激戦を生き抜いた杉元は「不死身の杉元」と呼ばれる英雄となっていた。杉元は北海道に眠る砂金を探し求めていたのだが。。

 このあたりを舞台にするのは興味深いですし、キャスティングも文句はないでしょう。『キングダム』でも活躍した山崎賢人は間違いなく旬の人。いつ撮影しているのだろうと思ってしまうくらい、多忙な毎日を過ごしているということが容易に想像できます。確か原作は最近完結したと聞いているため、ファンからすると待望の実写化であるため胸が熱いことでしょう。実際、二百三高地からオープニングが始まり、これから始まる壮大な展開に鑑賞者も期待が高まります。

 中身のことを先に触れると、これは好みが分かれますがギャグシーンが多いのがやや傷。笑いが起きていたのでまあ成功と思うのですが、シリアスなシーンはそのまま進めてほしかったです。まあそのあたりは原作を見ないと何とも言えませんから、原作がそのスタンスならまあ仕方ないと言えましょう。地味にグロシーンもあり、ある人物がヒグマにパンチを喰らうシーンは中々ショッキングでした。良かった点は、原作でもそうでしょうがアイヌの人々に焦点をあてていることです。アイヌ語の説明が字幕で入ったり(ただ、この字幕の多発も好き嫌いがわかれそう)、アイヌコタンのシーンが映し出されたりと、なかなか他の映画では焦点があてられないところを拝めるので貴重だと思います。そう思うと、この『ゴールデンカムイ』という原作はなかなか素晴らしい作品であると思えてしまいます。

 さあ、では何故僕がここまで今作を気に入らなかったかを述べます。というのも、今作は映画のようで映画ではなく、こんな構成ならばドラマでやってしまえよと思わずにはいられませんでした。一つの映画として見せるのならば、たとえ続編ありきで作っていたとしても山場となる見せ場は作っておくべきなのです。でないと、今作が持つオリジナリティといいますか、今作の存在意義が薄れてしまいます。続編を量産している『るろうに剣心』や『キングダム』でも各作品にテーマがあり、見せ場があるのです。ところが今作はクライマックスと言えるようなシーンがほぼ皆無であり、最後まで淡々と見せられて、はい続きは続編みろよ、ていう感じが凄いしてはあ?という感じになってしまいました。いやいや、これはあまりにも杜撰すぎます。確かに山場があまりない続編ありきの作品もあります。ただそういう作品は大々的に「part1」だの「前編」だの、何も知らない鑑賞者に見る前にある種の「覚悟」をさせているわけでして、まだ許せるものがあります。「part2」もしくは「後編」があるから仕方ないなと我々も割り切れます。
 ところが今作はそんな情報一切なしにあたかも一つの作品として提供しているにも関わらず、いざ鑑賞したら特に見せ場もなく強制的に続編に持っていこうとする、詐欺まがいのようなやり方です。

 何だろう、詳しくは知りませんがこの作品がこけたら続編はやめておこうとかそんな制作側の弱気が感じ取れます。とりあえず出しといて興行収入が良かったら続編だすよー、というスタンスでしか見れませんでした。まあこのあたりは僕の勝手な憶測なので何とも言えませんが、少なくとも僕としてはだいぶ騙された感じがしました大変遺憾でした。もう本当に失礼を承知でいいますが、これは映画のようで映画でない。映画というものをナメてるとしか思えない構成でありました。

 ただ原作は悪くないと思いますし、アイヌの話など興味深いところもありました。なのでこの点数です。この文を読まれて不快になられた方はすみません。ただ、僕も今作を見て不快になったのは事実なので隠すことなく本音を言わせてもらいました。のこのこと続編観に行くのはなんだか腹が立ちますし、別に続きもそんなに気になりませんでしたし、続編は観たとしてもサブスクで、ですね。

 え、本当にこれ誰か同じこと思っている人いないかな、、笑
TS

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