メッチ

ゴールデンカムイのメッチのレビュー・感想・評価

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)
3.7
冒頭の二百三高地から再現度高め。金塊の在処が記された地図の奪い合いが実写化。

再現度は文句無しですね。キャスト陣も違和感ありませんし、実際に北海道の雪原で撮影しているところから熱意を感じました。
その甲斐あって、興行収入も良いようです。続編も近々公開されるのでしょう。

また、「カムイ」は日本語で「神様」という意味があります。そのためか、作中所々に神様について考えさせる描写が多かった気がします。例えば、銭湯で常連のおじさんが杉本の身体中にある傷痕をみて、杉本が去るところで手をあわせて拝むシーンなど。
日本には古来からあらゆるものに神様は宿ると信じられていて、あの常連のおじさんも杉本を神様かのように拝んでいたのでしょう。こういったところが、ただ実写化するのではなく細かな工夫がされているように伺えます。

ですがお話について、今回の実写化した原作の範囲は、1巻から3巻目の前半まで。原作は全31巻のため、あと9作も作るのは大丈夫でしょうか?と、思ってしまいます。本作の製作に絡む会社は大きいため、心配は不要なのでしょうけど…。

ただ、後ろ盾が良くとも純粋に楽しめなくなるようなマイナスな要因はあるかと思います。それは、現代のアメコミの漫画の実写化作品。
少し前までの特徴は、オリジナルで漫画原作のエピソードを掻い摘んで、時間内に落とし込む印象がありました。それがユニバース化という漫画原作本来の良さを重視したことにより起きた、漫画と同じ量の情報をみている側に情報整理という作業をさせている。
もしも、映画とは2〜3時間の時間内に収めるという定義があったら、前者の方が遵守しやすく、後者はその定義から逸れている。ですが、そんな定義はありません。
良くも悪くも、近年の映画業界で目立っている漫画実写化作品のフランチャイズ化の発展。アメリカの漫画実写化作品の現状は、疲れて離れてしまう客層がいる。定義はなくても、客層の反応は物語っていると思います。

なので、同じ轍を踏まないように対策も考えてもらいたいです。原作を読んでいましたが、実写化した本作のクオリティーが高いのは確かだと感じたので。
メッチ

メッチ