Jun潤

ゴールデンカムイのJun潤のレビュー・感想・評価

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)
3.6
2024.01.22

原作既読作品。
山崎賢人×山田杏奈×黒岩勉脚本。
ついに公開しましたね…、個人的に良くも悪くも注目していた作品です。
情報解禁時から色々と言われていて、いざキャストが発表されてみると実写請負人と化した山崎賢人を筆頭としているものの、再現度の高い実力派俳優陣の装いに加え、ようやく山田杏奈が注目されることに歓喜。
しかし個人的にそこは大した問題ではなく、予告の時点でサバイバルアクションものであることを強めに押し出し過ぎていて、それはそれで原作の魅力の一つではあるものの、大事なのはアイヌの文化だったり、20世紀初頭の世界観だったり、シュールコメディや狩猟グルメの場面も結構大事だろうよと、チタタプしてヒンナヒンナしてくれるのかいと、思っているわけです。
それに原作は完結しているものの、一本の映画としてちょうどよく区切られる部分もすぐには思い浮かばないし、果たしてどのように仕上がっているのか、もしかしたら一作目のうちから続編ありきで作っているんじゃなかろうかと恐々としつつも、今回鑑賞です。

1904年(明治37年)、日露戦争において、旅順攻囲戦最大の激戦地となった二百三高地。
帝国陸軍第一師団所属の杉元佐一は、どんな重傷を負っても次の日には戦場を駆け巡る姿から、“不死身の杉元”と呼ばれていた。
それから3年後、北海道。
杉元は上官を半殺しにしたことで恩給も受けず、とある目的のために川で砂金を探していた。
その様子を見守る酔っ払いの後藤は、隠されたアイヌの莫大な金塊を見つけ出す暗号について話し出す。
酔っ払いの与太話と思われたが、目を覚ました杉元に銃を突きつける後藤の様子と、直後にヒグマに襲われて死んだ後藤の体に彫られた刺青を目にしたことで、現在の価値で80億円にのぼる二百貫の金塊の実在を思い知らされる。
杉元はその直後に後藤を襲った熊とは別のヒグマに襲われてしまうが、アシㇼパというアイヌの少女に助けられる。
後藤の遺体が必要な杉元は、人の味を覚えウェンカムイとなったヒグマを殺さなければならず、アシㇼパに金塊と共同戦線の話を持ちかける。
アシㇼパは金塊を隠したアイヌの中にアチャ(父)がいたこと、アチャは金塊を隠す際に殺されたことを杉元に話し、協力を約束する。
2人が出会った山のすぐ側にある港湾都市・小樽にて情報収集をする2人は、脱獄王・白石由竹との出会いを発端に、金塊を狙う二大勢力、帝国陸軍最強の第七師団を率いる鶴見中尉、そして、箱館戦争で死んだはずの幕末の亡霊・新撰組“鬼の副長”土方歳三の存在を知る。

うーん、やっぱり実写化がんばったで賞作品だなって感じです。
せめてフジテレビ、願わくばAmazonかNetflixパワーが借りたかった。
内容が原作の導入部で、原作もアニメも見ている身からしたら何度目の話かという感じですが、今作からゴールデンカムイに触れるにあたっての入門編としてはよく出来ていました。
今作も漏れなく、山崎賢人主演作品あるあるの「山崎賢人以外がとても良い」作品。
こう言ってしまうと山崎賢人が悪い感じですが、ちゃんと周りを引き立てつつ、引き立て役に徹するのではなくちゃんと主演の格を発揮していたのはさすがでした。
しかし今作、アシㇼパさんがアシㇼパさん過ぎて……。
原作の変顔を見事に再現してみせた山田杏奈にただただ拍手。
あとは矢本悠馬の白石や眞栄田郷敦の尾形、工藤阿須加の月島に大谷亮平の谷垣に玉木宏の鶴見中尉、それに舘ひろしの土方歳三と、キャラクター再現度の高いキャスト陣は割と満足度高め。
チタタプしてヒンナヒンナしてくれたからまぁ一応問題は無し。

しかしなぁ……、如何せんストーリーが…テンポ悪め。
上述の通りボリュームのある原作のほんの導入部分で、丁寧にしたいのは分かるし観る人によっては何度目の話かって感じなんですけど、それにしたって映画としてお話の完成度をもう少し高めていただきたかった気持ちが残ります。
それこそ、情報解禁前にネタにされていましたが、割と真面目に福田雄一を監督にするとか、安心と信頼の英勉×髙橋泉とかだったら、原作再現度を抑えつつ、オリジナリティも加えて作品の完成度を上げれたのではないかと。
作風的に世界観さえ崩さなければ割と何でも、メタネタだってありな気もするので。
やはり土方歳三生存やアイヌの隠し財産など、ロマン溢れる力強い原作なので、監督と脚本に舵取り力がそれなり以上に求められますよねって。
多分ビジュアルが綺麗過ぎたのと、劇伴が良い方向に作用していなかった。
もっと泥臭い感じの画と、民俗的な曲調だったらもしかしたりしていたかも?
一作目だし、小樽編のエリアボス的なのが必要なのは分かりますが、柳俊太郎の二階堂では誤用の方の役不足……。

キャラの衣装が山を駆けずり回ってる割に綺麗すぎるのを除けば、実物面は概ね良好、しかし問題はCG。
直近で『ゴジラ -1.0』なんていう実写邦画のオーバーテクノロジーを観てしまったので、二百三高地やヒグマ、レタㇻも頑張ってはいたけどやはり見劣りはしました。
あとコタンがちょっと残念でなりません。
最近は洋画も大怪獣ものが多く、今作のように実在する動物を描く作品は少ないものの、やはり他の作品と同じように、ヒグマとレタㇻに実在感が無い…それが大事でしょうって。
あとリスの脳みそがPG12でダメならR15+にせねばなるまい。

続編、やっぱ製作するのかなぁ……
ラストシーンで駆け込み気味に顔出しした後々登場予定のキャラたち、覚えている限りだと、キロランケにインカラマッ、家永二瓶辺見、抜けてたら申し訳ないです。
ここまで出すならもう札幌編や網走監獄編をやるしかないし、ここまで出すんなら鯉登少尉と宇佐美上等兵も出せば良かったのに。
こうなりゃもうハガレン路線で、網走樺太最終章と、上澄だけ回収してサクッと終わらせてはどうかとも思いますが、果たして。
Jun潤

Jun潤