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ゴールデンカムイのNowLoadingのレビュー・感想・評価

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)
4.2
 本日の一本。

 2024年、昨今の話題は原作実写化問題。原作という固定ファンを持ちつつその演出を如何にして現実味のある世界観に落とし込むか。数々の作品が実写化の中でコレジャナイ作品と化していった。その中から本作は、私を含む原作ファンが実写化にあたり最も重要視するのはどのようにして世界観を現実に構築するかというところである。本作はどう答えをだしたのか。

 即ち完コピである。漫画のセリフや構成、コマの切り取り方まで文字通り忠実に再現した。末恐ろしい出来栄えでこれ以上の実写化なんて出来るんだろうかと恐怖すら覚える作品であった。何一つ付け足さず、何一つ引き去らない。漫画をそっくりそのまま絵コンテにして、台本にした。ここまでやり切るのは勇気がいる。というか本作以前の実写化作品ではそれはなし得なかったことなのだ。

 象徴的なのは杉元とアシㇼパさんが狩猟小屋で食事をするシーンだろう。これはストーリーに直接の関係はないから10年前ならほぼ確実に消し飛んでいたはずだ。ここを削れば10分はフィルムの節約になるだろう。逆に言えば、その食べるという原作の大事なシーンを飛ばさなかったことが本作の実写化映画というジャンルにおける到達点になったのだと感じた。とても感慨深い。

 冒頭の二百三高地のようなシーンも今の日本でも作れるんだという気概を感じたし、これはキングダムチームの腕の見せ所だ。キャストも共通のメンツを用意することでワンチームとなってより深く本作の完全再現に力を注げたとも思う。

 原作の信仰心とすら思われる敬意は元より、培われた技術が合わさった結果の完成度に度肝を抜かれる。実写化映画の完成形でもある作品なので、一見の価値有りである。(ただし、完コピであるが故にストーリーは原作漫画の序盤までしか進まない。これ後4、5作品は作らないと完結までもってけないと思うが、果たしてどうなるか)
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