まぬままおま

対峙するふたりのまぬままおまのレビュー・感想・評価

対峙するふたり(2015年製作の映画)
2.5
ブリリア短編。

「15分の対話で理解ができるなら、抗争なんか起こらない」と考えるのは穿っているのだろうか。

他者への理解は必要であり、そのプログラムを社会が整備することは重要である。
しかし決して理解のできない他者性に眼差しを向けることから始めなくてはいけない気がする。

もし対峙をして二人が理解し合えるのなら、なぜ加害者の彼は、被害者の愛する男と殺すために対峙した時、「汝、殺すなかれ。」という呼び声を理解できなかったのだろうか。
それを凡庸な悪の仕業ということは容易い。だが私とは別様の歴史と世界への志向がある他者を理解し、抹消しないようにするのはとても難しいことなのである。

私とは隔たる他者性があることを認識し、それでも他者を理解しようとすること。その運動は決して充足されないことかもしれない。だがその運動に私は差し向けられている。