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トレンチコートの女のMOCOのレビュー・感想・評価

トレンチコートの女(1985年製作の映画)
4.0
「初めからあなたは少しも真剣に考えたことはなかったのね。
 デカがどんなけ嫌な人種か」(バルバラ)
「それはいつも考えてる事だ」(スタニランド刑事)


 雪の朝、駅のプラットホームに一人の男の死体が発見されます。名刺から犠牲者は音楽家シャルル・ベルリネル。殺人課のスタニランド刑事(ミシェル・セロー)は、遺体の状態から怨恨と割だします。

 スタニランド刑事はシャルルの妻マーゴ(エリザベス・ドパ ルデュー)からの聞き込みで、シャルルにはバルバラという愛人がいたことを聞かされます。
 スタニランド刑事はシャルルのアパートの家宅捜査に訪れメモがわりに使用された無数のカセットテープと美女のプライベートなヌード写真を発見します。そのテープの中にはバルバラとの情事を録音した物もあり、内容の確認をしていると突然、写真の女がカセットテープの回収に現れおどろきます。
 女はバルバラ(シャーロット・ランプリング)と名乗ります。

「ベルリネルは金曜の夜殺された」
「知ってます」
「どうして知りました?」
「殺したのは私だから」
・・・
 ジョークとも真実とも分からないバルバラの会話にスタニランド刑事は圧倒され、疑うことも忘れバルバラに魅了されてしまいます。

 スタニランド刑事は聞き込んだカセットテープから犯人はマルクという男と推測します。

 バルバラの魔性にとらわれたスタニランド刑事は焦らされた上で写真スタジオに連れていかれ誘われセットのベッドで肉体関係になってしまいます。その帰りスタニランド刑事は突然マルクを名乗る男に暴行を受けます。
 
 スタニランド刑事はバルバラと結婚を考えるほど虜になるのですが警部から発見された遺体
の側から43サイズの男の靴跡と37サイズの女のパンプスの靴跡が見つかった報告を受けます。

 スタニランド刑事はマルクの自宅を訪れバルバラとマルクは兄弟だということを知ります。

 ある日情事のあとスタニランド刑事は辛辣な言葉でフラれてしまうのですが「姉はあなたのでかたを探っているだけ、仲を取り持つから10時に自宅に来てくれ」というマルクの言葉を信じてマルクの自宅を訪れます。そこには姉弟でありながらベッドを共にする二人が・・・。

 スタニランド刑事はバルバラに翻弄され、バルバラの虜になりどんどんヘボイ中年のオッサンに成り下がっていくのですが実は冴えた男という設定に鑑賞中に気がつく人は恐らく少ないのではないでしょうか。いや、それどころか最後の展開まで行き着いていない、途中リタイヤの方が多い映画なのかもしれません。

 バルバラを演じるのは十代でモデルとしてスカウトされたシャーロット・ランプリング。 女優に転身し28才の時の1974年イタリア映画『愛の嵐』の上半身裸にサスペンダーでナチ帽のセクシーな写真で有名な女優です。
 39才の1985年の「トレンチコートの女」はDVD化されていないレア作品ですがポルノ映画並みに脱ぎまくりベッドシーンの多い映画です(それがどうした)。
 
 前回レビューした「ブラザー・ハート」の女優シャーロット・ランプリングの関連作品として、撮り貯めしたDVDを探しだして観たのですが、巡り会うチャンスがあるなら観るべき作品です。

 期待していなかったので何度も寝落ちしたけれど観直して、見直して最後まで観てよかった。
 見事に騙されました。犯人へのアプローチが凄い(くどい)スタニランド刑事は推理力の優れたコロンボでした。全てお見通しでした。
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