吉良吉影

インランド・エンパイアの吉良吉影のネタバレレビュー・内容・結末

インランド・エンパイア(2006年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

本日3本目。軽いの1本観て寝ようとする予定が、最新配信の所に本作を発見。映画疲れが溜まってる中で、「リンチの作品3時間はきついかぁ」と思いながらも意を決して鑑賞。

圧倒的なシュールレアリスム作品。

鳥肌が立つくらい不気味、意味不明過ぎて失笑。まだ考察は少ししか読んでいないので、自分でも考えてみる。

最初の「娼婦と男の会話」「3匹のうさぎ」「テレビを見る女」。何語を喋っているのか分からなかったが、『マルホランドドライブ』のように映画の脳みそに当たる部分だと考察。

「不気味な婆さん」が撮影の中で殺人があることを示唆。「暗い明日の空の上に」の撮影中に役者としての愛ではなく、現実的な愛に目覚める?のような話に展開。ここまでは演出がちょっと奇抜だなって思うくらいで、まだついていける。会話の途中にベラベラと忠告のようなセリフを挟むので観ている私達からすると「?」となる。

問題は奇妙な文字が綴られたドアに入ってからである。突然『ロスト・ハイウェイ』のようなホラーチックな部屋に飛ばされて、娼婦?のような女達に囲まれる。と、思ったらいかにも殺人事件が起こりそうな奇妙なマンションで告白をするシーンへジャンプ。と思ったら何語か分からない男や女達がベラベラと会話をし始める。娼婦の女達のシークエンスに戻ると急に踊り出す。それぞれのシーンは基本、ニッキーがタバコの火で布に穴を開けて覗くことで場面がシフトする。終盤はその法則すらも無くなり混沌とした妄想世界になる。

リンチがデジカメ持って必死にドアップショット撮ってるの想像すると笑える。(本人が撮ってるのか分からないが)いつも通りに顔ドアップショットやフラッシュ焚き過ぎる部分は健在。顔だけ映すことで、目に入るよう余計なものを削ぎ落とし、表情と会話に集中させる魂胆なのか。ただそれをされると顔芸感半端ないのだ。

結果この映画が何を言いたかったのかちんぷんかんぷんだった。多分映画の中で役者としての自分と本来の自分を見失う恐怖的なテーマ?。不気味で鳥肌が立つのは久しぶりの経験。リンチの作品はほぼ観てしまったので、彼の作品を初見で見ることができるのは羨ましい。
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