元々は第二次世界大戦のユダヤ人対策のための国家建設の約束から始まった。
ユダヤ人にとっては約束の地が、一方のパレスチナ人には侵略や略奪や追放の地となり、大国は責任ある対応を取らずに彼の地の当事者に半ば委ねたような状態。
結局は経済的に優位なイスラエルがパレスチナを武力で支配して、少しずつ支配領地も拡大。もともとのパレスチナの住民を縦横10k*40kの狭いガザ地区に200万人を閉じ込める。
そして政治的な思惑でそれぞれの陣営を後方から支援する大国。
もともとの住民は何の罪もないのに紛争に巻き込まれる。ほんとうの原因は何処にあるのかよくは分からないながら、憎しみや悲しみは攻撃してきた者に向かい、イスラエル側もより残虐で無慈悲な攻撃を加えエスカレーションは止まらない。
本作は平和に暮らしていた市民が争いの中で、直接的な戦傷や戦死だけではなく、未来や希望が失われていくさまや現在が描かれる。
ひとことで戦争の悲劇と言えば簡単だが、そもそもの原因は権力者の恣意的な思惑や無責任な振舞いにある。その構図はあらゆる戦争において、基本的に変わらないし、実際の痛みは兵士だけではなく戦争など望んでもいなかった一般市民が負う。
解決すべきは誰か。大国の当事者は実はいちばん理解しているはずだ。そのツケを相変わらず払い続けているのは、そうした責任からもっとも遠いところにいるひとびとだ。