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ノック 終末の訪問者のokappaのレビュー・感想・評価

ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)
3.7
予想外のことは起こらないのだけど、なかなかよかった。固定の空間、限られた人物、ただ一つの目的だけで飽きずに最後まで観せてくれる。ストーリー的には「聖なる鹿殺し」に似てるかも。本作は本当に何にも家族に非はないしとっても良いファミリーなんですけどね…。

人物がとても良い。過去の様子がしつこくないし、人物像をそこそこみせるのは限られたキャラクターで、程よく分からないままにしてくれる。基本的に説明はないけど十分。気味悪さと、本当なのどっちなの感の演出は良いなと思います。

ストーリと結末はかなり明確。そこまでの過程をどれだけ面白くするかですが、良い感じです。もうほんと、ファミリーが素敵でほんとやめて!って気持ちでした。穏やかなトーンで淡々と話す大男って凄く怖い。尋ねてくるメンバーが絶妙に良い組み合わせです。

とはいえ、シャマラン監督はいつもこう、人の力では及ばないパワー的な終結をするような。嫌いではないですけど、身も蓋もないのですけど、個人的にはそういうパワーより、真に狂った人間を期待してしまいます。そして勝手に、今回もああ違うのか…と。

あと、モチーフは作中でも言及されてる「ヨハネの黙示録」の四騎士な訳です。そして同性カップルと養子の女の子の家族に、犠牲を強いる。彼らが素晴らしい家族だから。キリスト教的に基本的に否定される同性カップルが素晴らしいとして選ばれ、人々の罪のために磔になったイエスのように犠牲になる、というのはめちゃくちゃ皮肉なのかなと。シャマラン監督の宗教観は分かりませんが、これはもうダイレクトに言ってるよなと。原作?ありっぽいので元の作品がそうなのかな。「ベネデッタ」でも思いましたが、信者は一方的に神を信じて委ねるしかない。神の真意は解りようもない。なので、実は神が「信者が禁忌とする人々」を聖人とみなしたり、彼らに奇跡を授けることはあるんじゃないかと思ったり。

そして、俳優さんとってもよかった。エリックなんだが凄くエンジェル感ありました。めっちゃ見たことあるお顔だなと思ったのですが鑑賞後に「マインドハンター」のホールデン捜査官だと思い出しました。ホールデン捜査官の場合は、かなり狂気と正気の境界線で危うい感じだったので役者さんて凄いです。娘役の女の子もとても可愛かったです。ちょっと「アフター・ヤン」を思い出しました。違う子だけど。アンドリューも素敵なパパでした。あと、ルパート・グリントよかったです。勝手なイメージ彼と、ドーナル・グリーソンはクズとかなんか不運とか不憫とかめっちゃ似合う。
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