けーはち

ノック 終末の訪問者のけーはちのレビュー・感想・評価

ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)
3.2
家族3人を監禁し「家族の誰か殺さないと世界滅亡!」と迫る4人の襲撃者たち──シャマラン版「天気の子」風セカイ系スリラー。襲撃者たちは偏見や狂信と程遠い心優しい善人、少なくとも普通の部類で、監禁した家族を積極的に傷つけたりしない。ただ、頭に閃いた世界滅亡のヴィジョンを共有し、それが真実だと確信を抱いて恐怖に突き動かされて行動する。コロナ禍以降の陰謀論者のイメージだろうか。襲撃者と家族の間に二転三転あってスリラー感はずっと持続するものの、結局のところ彼らの陰謀論であるところの世界滅亡が迫るような表現はされ「多数のために少数の犠牲を捧げるか」というトロッコ問題に収束してしまう。東京が沈むぐらいなら良かろうものだが、世界滅亡となれば、さしもの新海誠もヒロインを人柱に捧げようとするかしらん。