しゅん

ブラインドマン/タイタニックを見たくなかった盲目の男のしゅんのレビュー・感想・評価

-
被写界深度の極端な浅さで、ほとんどの形態が光に混じって外見認識のできない状況を表す。その演出はロウ・イエ『ブラインド・マッサージ』を思わせるところがあるが、本作は孤独と盲目による体感を伝えようとする。触ったものだけ形が見えてくる、音の反射が強く響く、という演出が印象的。
映画オタクで多発性硬化症になった男が、オンラインで知り合った女性がもう長くないことを知り、一人で会いに行こうとする話。ヤァーコ演じるペトリ・ポイコライネンの深い二重の眼と言葉の発し方がどうにも魅力的で、彼の自尊心と哀しみと身体感覚に同調する形で本作はすすむ。暗闇が訪れた瞬間は恐怖と陶酔が同時に押し寄せた。

EUフィルムデイズ2023にて。
しゅん

しゅん