コマミー

こどもかいぎのコマミーのレビュー・感想・評価

こどもかいぎ(2022年製作の映画)
3.9
【対話の可能性】



※内閣府後援・kakawari corporation主催のオンライン上映会にて鑑賞(鑑賞媒体:Vimeo)





これはとても素晴らしいドキュメンタリーであった。というより、この"保育園"の"対話"に対する考え方がとても素晴らしいなと感じた。

本ドキュメンタリーに出てくるこの保育園には、新たな取り組みとして子供たちが自由に自分の考えを発言する事ができる「こどもかいぎ」なるものを取り行っている。子供達の「対話を通して子供の"感性"を引き出す」事を目的に、今の大人達でも出来ない人が多い事を園児達は勿論、職員達も加わって取り組んでる所がとても微笑ましかった。
時に"ぶつかる子"もいれば、そもそも"会話が苦手な子"もいる、良く話す子もいる…そんな子供達の意見を決して"否定はせず、肯定をしてあげる"。そして子供達にも、"相手を尊重しながらもちゃんと自分の意見を持つ"事を優しく時には優しく抱きしめながらも教えてあげる…これはこの年頃の子供を育てる教育の"究極の愛の形"を見ているようで涙が出てしまった。

通ずる映画としては、マイク・ミルズの「カモンカモン」が思い浮かべるだろう。あの作品でも大人と子供が対話を通して、お互いの信頼度を高めていく物語だった。そう、お互いの関係性を保ったり、修復するには"お互いを思いあった対話"はとても重要なのだ。
子供の喧嘩は突然始まるのだが、この保育園には対話の為に用意してある"専用のテーブル席"がある。そこにすかさず職員は2人の園児を座らせ、「何が嫌なのか?」「あなたにこうして欲しい」という"関係修復のための対話を行わせる"のだ。必ずしも皆んなが成功する訳ではないのだが、そこに座らせ対話をさせた園児達のほとんどが関係修復に成功している。これには本当に一大人である私は度肝を抜かれてしまった。やはり対話は大事なのだ。

そして"四季折々"で紡がれる様々な園児達の姿も見所だ。夏は水遊びをしたり、秋は落ち葉をせっせと集めたりしている。そして春は卒園…子供達を見つめてきた職員達の涙ながらの子供達への感謝の言葉が、私の涙腺を決壊させた。
年長さん達が"赤ちゃん達"のお世話をする姿もあり、慣れないながらも赤ちゃん達と触れ合う年長さん達がとても愛おしかった。

是非、子供達は勿論、多くの大人達にもこのドキュメンタリーを見てほしいと感じた。極めて今後の人生において、本作は見る価値が充分にあると思うし、本作を通して「対話の可能性」を子供達の姿から学んで欲しいなと思った。

私もとても勉強になりました。日々、精進します。
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