yadokari

アウシュヴィッツのチャンピオンのyadokariのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

アウシュヴィッツ映画としては、ポーランド映画の伝統なのか不条理観。最近の日本の映画の戦争ものはこういう映画が少ない。どこか感動映画にしてしまいがちだけど。救われるのはチャンピオンと呼ばれた男だけで、それも後のエピソードで連合軍に解放されジムを開いたと。彼が自力で切り開いた道でもないのだ。

なんとなく呆然としながらカタルシスは得ることはない。実際は勝利しているのに敗北感につかれるのは、それがナチスの敷地内で行われている娯楽であるということ。勝っても負けても、それが映画の中でいつまでも続くのだ。最近のお涙頂戴の日本の戦争映画とは正反対な感じがする。

仲間は無惨に殺されるしガス室のシーンも悲惨(直截描写はないのだが)。ただボクシング映画としては面白いかな。このチャンピオンが防御スタイルのボクサーだからハードパンチをかわすシーンがなんともスリリング。この役者は経験者かもしれない。
yadokari

yadokari