yamabbey

アウシュヴィッツのチャンピオンのyamabbeyのレビュー・感想・評価

3.8
アウシュヴィッツ強制収容所で、ボクサーとしての矜持を抑え、生きるためにドイツ人看守たちに娯楽を提供する主人公テディ。スポーツとしてのボクシングが汚されるような感覚も覚えるが、テディ自身のためだけでなく、仲間のためのパンや薬を得るための手段としてテディがボクシングで勝ち続けようとしていたことが泣ける。結構ボクシングシーンも多く、テディの防御重視のボクシングスタイルは緊迫感がありボクシングの試合自体もドキドキするし看守側の用意した敵を倒すカタルシスも感じた。強制収容所で収容者は単なる番号や数字でしかない扱われ方や殺され方をするシーンも多々あり、全般的にはホロコーストの悲惨さで鬱になりそうな展開ではある。テディが強いボクサー故にアウシュヴィッツ強制収容所から別の収容所に移ることができたが、アウシュヴィッツを去る際の彼には幸せな様子は見受けられずとにかく陰鬱。最後に戦後の彼が子供たちにジムでトレーニングをつけている様子が映ってようやく心が少し晴れ、彼が生き抜いたことの奇跡と尊さを感じた。
yamabbey

yamabbey