クリーム

ヒンターラントのクリームのレビュー・感想・評価

ヒンターラント(2021年製作の映画)
3.8
全編ブルーバック撮影でCG合成されているため、建物が歪んで傾いて観えるのが面白い。悪夢の演出だった様です。内容は、猟奇殺人を紐解くサスペンス。犯人は最後まで解らないので、面白かったです。が、全体的にずっと暗く、殺され方はやや刺激的でした。

1920年、第一次世界大戦中ロシアの捕虜から解放され帰国したペルク達は、ウィーンへと戻ったが、 祖国は敗戦し、オーストリア共和国と名を変え、人々は貧困に喘ぎ、退役軍人は住む場所さえなく放り出された。ある日、警視のレンナーに呼び出されたペルクは、そこで一緒に帰還したクラアーノの無惨な遺体と対面した。解剖医のケルナー博士と共にに捜査をする事になるのだった。



ネタバレ↓



実はペルクは元刑事で、数々の難事件を解決した敏腕刑事だった。 死体には杭のようなものが19本打たれていたり、親指1本だけを残し他の全ての指を切断されたり、生きたままネズミに足を食われたり、バラバラにされて氷詰めにされていたり、それら全てに19という数が暗示されていた。
結局、捕虜収容所での密告が原因で、仲間の為、脱走計画を立てた20名を密告して殺させた事で、残りの何千人もが生き残る選択をした捕虜委員会の20名を恨んでの復讐だった。ペルクは、その中の1人で、復讐の対象者だった。
また、犯人は一緒に捜査していたセヴェリン刑事の兄で、冒頭、息を引き取ったかに見えた男だった。
ラストにペルクは、ずっと訪ねる気になれなかった妻と娘の元を訪ね終わる。

ケルナー博士(若い女性で肉体関係あり)が、ペルクにいいように使われた気がしないでもないが、これも戦後の混乱期で仕方ないという事なのか?
結局、ペルクは妻と娘の元に戻った。捕虜となり過酷な日々の末、やっと帰国しても酷い扱いだった戦士達が気の毒でならなかった。サスペンスの内容もそこそこ楽しめ、ブルーバック撮影もあまり観ない映像でアートな感じが良かったです。
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