塔の上のカバンツェル

アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場 オリジナル・ディレクターズ・カット版の塔の上のカバンツェルのレビュー・感想・評価

3.6
上演版は昔映画館で観たなぁ。
本国版はそもそもドラマシリーズなんですね。さらに長い。
フィンランド、カレリア地方の緑陽樹の美しい自然風景と木漏れ日に照らされながら、繰り広げられる継続戦争。
苔むした緑豊かな森の中での塹壕戦や対戦者戦の絵図はハリウッドやロシアの大祖国戦争映画とはまた違った趣きがある。

火薬量やエキストラの数とか、映画における戦闘シーンの多さとか、結構ボリュームがある割に派手さはなく、大変抑制的な映画です。

ただ、塹壕戦におけるコーナーごとに手榴弾を投げつつスミオ短機関銃などで制圧射撃を加えて掃討していくことで、犠牲を抑えようとする塹壕戦の鉄則を延々と見せておいて、後半のとある戦闘で正面突撃をかければあっという間に射殺されるという場面を見せてきたり、単調に見えて結構丁寧に描写を積み上げている作品でもある。

機関銃隊の話だけあって、味方のも敵のもww1から連なる機関銃一艇の製圧力の脅威度も丁寧に描写される。

ソ連軍のT-34に梱包爆弾で肉薄する場面や河川における強襲渡河など、本作ならではの場面も多く、見所も多々ある作品。

キャラたちに完全に過剰移入できないにしても、歩兵の泥臭さはキチンと伝わってくると思うので、なるべくこちらのディレクターズカット版か、ドラマ版を観るのがオススメかなぁ。