いしんじ

呪詛のいしんじのレビュー・感想・評価

呪詛(2022年製作の映画)
4.6
はーーーーーーーーーーー。
インフルの日に見る悪夢。

呪いや信仰の描写が、それくらい滅裂でとても良い。人間の手に負えない"向こう側"の相手だから、価値観や理屈が理解の範疇を余裕で超えてくる。しかも、台風や災害のように「何の感情も無く」現象として襲いかかってくる。だから、ルールも無い(あるのかもしれないが、予測不可すぎる)から抵抗の術も無い。とはいえ抵抗したい気持ちはあるからアレコレしてみるけど、「遅いよ〜^^」って余裕で呪い側の方が速い。信仰してる人達もガチになってくれるけどそれでも駄目なのが"ホンモノ"感醸してて気持ち悪さがある。

でもそんな理解の範疇を超えておきながら、観ている側に常にリアリティを感じさせてくれる美術が、また不気味さを掻き立ててる。
そのリアリティが特に家にあったなと思っていて、なんかちゃんとトーンが「リアル調」になってた。汚いわけじゃないんだけど、小綺麗じゃない。決していい匂いではなさそうな感じ。人の家のニオイがしてきそう。これは置いてるものがどうだとかそういう話じゃなくて、なんかマジで「トーン」の話。家の「トーン」が"フィクション世界"から1段階落とされてる。

そんであの地下は、特に「フィクション」へと引っ張られて行ってしまいそうになる場所であるけど、そこにあるのは「鏡」とか「布のバリケード」とか、そうやって一気に身の回りにあるものが出てくる。そうやって「リアル感」から逃がしてくれない。

そうやってリアル感があるのに、"向こう側"が襲いかかってくるからそりゃ心がザワつく訳ですよ。

あとは、POVについても触れなきゃなと。最初は、なんかPOVにするための口実ばっかり喋っててなんだかな〜って思ってたけど、中盤くらいに結構POVが活きてたなと思ってて。
POVは「視線」の役割を果たしてるからこそ、見ていない「不注意になっている部分」というのが怖くなってくる。

あとは最後の最後にあるアレのシーン。笑
みんなも唱えてみてって言ってくるけどさ、そんなん絶対にダメって分かるやん。分かるのにさ、それを見越してるようにアホみたいにしつこい!笑
いいわ〜!!!!
いしんじ

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