まちゃん

呪詛のまちゃんのレビュー・感想・評価

呪詛(2022年製作の映画)
3.8
モンスターが襲ってくる欧米のホラー。確かに衝撃的だ。しかし、本当に恐ろしいのは東洋のホラーだと思う。あくまで外部にいる欧米のホラーと違って東洋のホラーは精神の内部に入り込んでくる。ジワジワと日常を侵蝕していき、決して抗うことが出来ない。この作品ではその恐怖感を表現する上で撮影手法が上手くマッチしていたように感じた。ブレア・ウィッチ・プロジェクト」に代表されるPOV手法。客観的な視点のカメラを廃し、登場人物の手持ちのカメラに残された記録映像をそのまま観るこの手法には現場に立ち会ったような圧倒的な臨場感がある。一方でワンアイデアになりがちでストーリーに膨らみを持たせ辛いという弱点があった。その弱点がこの作品では解消されていたように思う。誰もが動画撮影可能になった時代背景、それに加えて主人公をYouTuberに設定する事により、豊富な記録映像の量に説得力を持たせた。山奥の寂れた村、不気味な村人、土着信仰の奇妙な風習そして決して入ってはならない禁忌の場所。ドキュメンタリーを観ているようなリアリティが観客に不安感をもたらす。登場人物が体験した呪いの恐ろしさを体感出来る傑作ホラー。
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