深獣九

呪詛の深獣九のレビュー・感想・評価

呪詛(2022年製作の映画)
3.0
雰囲気は最高。古き良きJホラーにも通じる味わいがあった。
クライマックスの母親の告白は衝撃だった。あの呪文、いまでも耳に残ってる。上映前もずっと流れてたし笑。
呪いの正体も気持ち悪かった。あれね、フォビアな人も多いんじゃないかな。身体中に現れて目を覆いたくなった。たまらなかった。

などと評価ポイントはたくさんあるのだが、観終わったあと、なぜかどっと疲れてしまった。疲労困憊。
恐怖のせい? 呪われちゃった?

どうも違うようだ。

というわけで、おじさん疲れちゃったよポイントを3つ挙げたい。

○振り回されるカメラ
POVがキライなわけではない。ただちっとカメラを振り回しすぎ。何を撮ってるか、何が映っているかわからなすぎ。雰囲気重視だからあえて映さない、という手法ならば悪くない。でも、後述の通りびっくりホラー要素も強いだけにちょっとね。疲れてしまう。登場人物がずっと撮影する理由も、腑に落ちなかったのでマイナス。

○過去と未来を行ったり来たり
事件の発端は6年前。ユーチューバーの行き過ぎが原因。その様子と現在の描写が交互に映し出されるのだが、構成がもうひとつはまらなかった。私にはわかりにくく、常に頭をフル回転させながら観ていた。登場人物の関係もあまり明瞭にならないので、ちょっと不親切だった。村が近いのか遠いのかもわからなかったし、里親がいきなりチベット? に行くのも唐突だった。映画館なので巻き戻し機能もなく……疲れた。

○結局お化け屋敷
要所要所で襲ってくる呪人(呪いの具現化)。カメラに向かってすごい勢いで近づいてくる。そりゃびっくりしますよ。不気味な顔がドアップになるし。急に大きな音を立てたりね。なにか起こってるのだろうけどなんだかわからなかったり、村の様子だったり、電気が点いたり消えたりだったり、雰囲気は満点。娘ちゃんが屋上に行くシーンもよかったし、芋虫も気持ち悪い。いろいろ取りそろえて不気味臭ビンビンさせてるのに、大音量が臭を霧散させてしまう。実にもったいない。で、驚かされたらどっと疲れる。


いかがであろう。あー確かにと思う方もいるのではあるまいか。
だが、いやいやそんなことはなかったよと、おっしゃる方が圧倒的に多いと思う。なぜか。私はその訳を知っている。
疲れちゃった最大の理由が座席の位置だからだ。なんとC列、つまり前から3番目である。しかもほぼど真ん中。スクリーンが近い。見上げる首が痛い。左右の端は視界に入らない。

これが最大の原因である。身バレの危険が高まるが、どうしてもお伝えしたく覚悟を決めて明らかにした。いや誰も私のことなど見てはいないだろうがね笑。

特別企画だけあって、写真展示やインスタスポットなどイベントも楽しめた。記念品の中に清め塩があるのも雰囲気あってよい。魂は細部に宿る。
最も盛り上がったのは、観客の身を案じてのことだろうか、スクリーンの前に祭壇がしつらえてあり上映前に赤城神社? による本格的な? お祓いの儀式が執り行われたことである。いろいろ思うところはあるが、素晴らしかったのは巫女が観客に向かって「祝詞の間は頭をお下げください」と伝えたところ、それまで撮影に興じていた者たちも全員頭を下げたことである。しかも何度も。ファンの真髄を垣間見た。

観客を巻き込むスリルがあり、ストーリーそのものは面白かった。映像も迫力があった。もし機会があればもっと後ろの席で観てみたい。

虎井保フォビアの方はご用心。
深獣九

深獣九