ジェイコブ

ハロウィン 悪魔のウイルスのジェイコブのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

ハロウィン間近のある日。大学の学生寮で暮らすグレースが、ルームメイトのゾーイと共にパーティへ行く計画を立てていると、二人のスマホとパソコンが突如謎のコンピューターウイルスに侵されてしまう。それは軽快なハロウィンイラストのアニメーションと共に「あなたの一番怖いものは何?」と制限時間付きで聞いてくるもので、時間内に答えたグレースに対し、ゾーイは軽く考え、放置した。その日の夜、ゾーイがアルバイト先で勤務していると、ゾーイが最も恐れる存在「豚人間」に襲われ、殺されてしまう。親友の死を知り悲しむグレースだったが、警察から彼女の死因が「噛み殺された」事と聞き、前日に送られてきた謎のコンピューターウイルスの正体を追い始める……。
「スナッチャーズ・フィーバー」のジェイ・ダール監督最新作のカナダホラー。本作は謎のコンピューターウイルスによって引き起こされる呪いと、呪いから逃れるためにそのルーツを辿っていくもので、日本の残穢やリングを彷彿とさせるようなストーリーとなっている。イット・フォローズへのオマージュや、スナッチャーズ・フィーバーでも出演していた俳優も出ていたことなど、見ていて思わず笑えてしまうようなシーンもある。
前作のスナッチャーズフィーバー同様、劇中のシーンの至るところで無音を駆使した緩急のつけ方や、低予算であることが逆に活きる不気味演出を感じ取る事ができ、もはや監督の持ち味となっている気がする。ただ、後半にかけてのストーリーの中だるみや、無理やり詰め込んだラスト10分という所感は否定できず、この内容だったら一時間でもよかったのでは?と思えてしまったのが残念なところ。
本作の良かった点は2つ。一つは同監督の作品を見るのは二本目だが、前作よりもストーリー構成やカメラワーク等に成長を感じた点。
もう一つはクリーチャー達は元々普通の子供達で、悪徳企業のもたらした川の公害によって奇病を発し、長い病院生活とその醜い姿から大切な人達からも見放された事で孤独に苛まれ、やがてこの世界のすべてを憎むようになったと、きちんと怪物のバックボーンを語った点。彼らが日常的にマスクをつけるようになったのはその醜い顔を隠すためであり、彼らにとっては毎日がハロウィンだったからだと語られており、本作のテーマであるハロウィンという設定にもちゃんと意味をもたせているのは好感が持てた。
脚本の中だるみ等の要素を総合すると、メチャクチャ面白い作品かと言われればそうではないと言わざるを得ない。だが、ビックリ演出や怪物の造形など、まだまだ伸び代を感じる監督であるようにも思う。去年公開のサイコゴアマンもカナダだったので、今後カナダ産のホラーにもさらなる期待をしていきたいと感じた作品。