てるる

マドラス 我らが街のてるるのレビュー・感想・評価

マドラス 我らが街(2014年製作の映画)
4.0
IMW2022 その②

チェンナイ(マドラス)で暮らす人々の友情や恋、そして政治闘争を描く骨太な人間ドラマ。

これ絶対好きなやつと思ってたけど、やっぱ好きなやつだった!

ある政治家の顔がドーン!と描かれた壁。
いわば権力の象徴であり、その壁の使用権を巡って争いが根底にある。

前半は主人公カーリの嫁探しと仲間たちとの友情がメインで若干コメディタッチ。
もうインド映画の定番ともいえる。

しかし政党同士の争いがエスカレートしてからは緊迫感が増していく。
同時にバイオレンス感も増し増し。

そう、こういうタミル映画が観たいんです!
こういう泥臭すぎる男たちのバトルが好きなんですわ。

インドは銃社会ではないので、韓国映画と同じく凶器が棒とか鉈とか近接武器で戦うのがいいんですよねぇ。

後半には胸糞な展開と驚きの展開もありつつ、タミル映画らしい最後を迎える。

インドのカーストより下のダリット(不可触民)を描いた作品だけど、ダリットという言葉は出てこない。

逆に言えば、ダリットだって普通に恋して、青春して、働いて、生きている。
ダリットと言われてなおシンプルに普通の人々でしかないし、前半はそれが生き生きと描かれている。

監督自身がダリット出身でもあるからこそ、撮れた映画ともいえる。

「囚人ディリ」のカールティが主演で、2014年の映画だけど、当時カールティはヒット作に恵まれず低迷していた彼が返り咲いた作品でもあるという。

それも頷ける、身分制度の壁を感じさせないパワフルな映画でした!
てるる

てるる