Jun潤

1秒先の彼のJun潤のレビュー・感想・評価

1秒先の彼(2023年製作の映画)
3.9
2023.07.07

岡田将生×清原果耶×宮藤官九郎脚本。
昔っから大好きな顔面の岡田将生と、最近大好きな清原果耶がついに共演。
原作の映画『1秒先の彼女』は未視聴ですが、男女反転&舞台転換ということで、新鮮な気持ちで今回鑑賞です。

周りより行動がワンテンポ早い皇 一(スメラギ ハジメ)。
郵便局の窓口で働くハジメは、ファンができるほど外見は整っているものの、先走り&早とちりな行動と、卑屈な言動から恋人とは長続きしないし話し相手はラジオだけ。
そんなハジメにある日突然春が訪れる。
川沿いで弾き語りをしている女性・桜子に声をかけたことから、彼女との交流が始まる。
どんどん桜子に惹かれていくハジメだったが、初デートの日、弟の治療費にお金が必要だという、なんだかきな臭い話をされ、ハジメはまんまと信じてしまい、賞金目的で花火大会のコンテストへの参加を約束する。
そして迎えた日曜日の花火大会、ハジメはコンテストの是非に関わらずお金を渡そうと、大金を手に待ち合わせ場所へと向かう。
しかし次の瞬間、ハジメは家で寝ており、月曜日になっていた。
消えたお金、謎の日焼け、写真館に飾られている身に覚えのない自分の写真。
その写真館に撮影者のことを尋ね、返ってきた特徴を思い返すと、毎日ハジメのいる窓口にやってくる女性と一致する。
彼女の名前が長宗我部 麗華(チョウソカベ レイカ)だと分かると、ハジメは忘れていた過去を思い出す。
そしてレイカの視点から、ハジメから消えた1日の真実と、切ない片想いが語られるー。

これはこれは、クドカン節全開の脚本と、秀逸すぎるキャスティングが効いた作品でした。

まずはストーリーについて、前半と後半で視点を切り替えており、前半の暴れ馬の如きノリノリなコメディからの、後半では細かい描写を回収しつつ、コミカルな話が嘘のように切なく濃厚な人間ドラマに収束していっていました。

そしてパッとせえへんカメラ女子がこんなにも似合い、しかしヒロインとしての存在感を発揮できる唯一無二の逸材・清原果耶と、時が止まっている中で無表情を全く崩さない岡田将生の演技力でもって、ちゃんと日本の才能を活かした邦画に仕上がっていました。

唐突に始まったファンタジーな時間停止は、鑑賞中自分の中で想像していた通り(←ホント)、周囲よりもワンテンポ遅い人たちに神様が贈ってくれた奇跡ということで作中でも言及されており、個人的には考察のし甲斐と作中での答え合わせをあまり求めていないながらも、なんだか嬉しい気持ちになりましたね。

結末については、まさか韓国映画が基だからよくある死別とか記憶喪失エンドなのかと思いましたが、原作と同じかどうかはわからないものの、過去を思い出したことによってレイカのいる町の郵便局に異動して一年想い続けたハジメと、花火大会の日をハジメは知らない、自分のことを思い出してもいないだろうと、かつてと同じように窓口にやってきたレイカ、テンポが周囲と少しずつ早くて遅い2人がようやく同じタイミングで出会えたような感じがして、コミカルな演出や切ないストーリー展開からのスッキリハッピーな終わり方でした。
Jun潤

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