アオヤギケンジ

1秒先の彼のアオヤギケンジのレビュー・感想・評価

1秒先の彼(2023年製作の映画)
3.8
よく考えると前衛映画かとすら思えるほど難解な映画。
特に説明もなくサラッと描いてますが、めちゃくちゃ難解なストーリーです。以下、何が難解なのか説明します。
話としては日曜日が止まってしまう話なのですが、この日曜日が3パターンに分かれています。つまりどういうことかというと、清原果耶たちが過ごす日曜日(日曜日1とします)、岡田将生が過ごす日曜日(日曜日2)、そのほか大勢の人が過ごす日曜日(日曜日3)の3パターンがあるのですが、説明がめちゃくちゃ難しいです。日曜日1を過ごす人たちは苗字の画数がめちゃくちゃ多い人です。その人たちは神様から、苗字を書く時間が他の人より多いという理由で、日曜日を2日分与えられます。しかし単純に1日増えるというわけではなく、みんなが止まってしまった中で動くことができるという与えられ方です。
一方で日曜日2の岡田将生はいつも他の人よりも早く動くという理由で日曜日を奪われてしまいます。土曜日の次は月曜日だったみたいな状況が彼の身には降りかかります。
そして日曜日3。ほとんどの人間はここに当てはまるのですが、ややこしいのは日曜日1が動ける日曜日に動けず、しかし実感覚としては普通に時間が進んでいるように感じている(だろう)ということです。
まとめるとこうです。

日曜日1→土曜日、日曜日、日曜日、月曜日
日曜日2→土曜日、月曜日
日曜日3→土曜日、日曜日、月曜日

これが彼ら彼女らの実感としての時間経過なのですが、日曜日2と日曜日3の違いは明確にはわかりません。もっというと日曜日3が過ごしたであろう日曜日は描かれないのです。描かれる日曜日は日曜日1の過ごした日曜日であり、日曜日3の過ごした日曜日はどういった日曜日なのかわからず、さらに日曜日2にいたってはそもそも日曜日が急になくなったという感覚なのです。
書いていてもまったくわかりません。途中で完全に日曜日がゲシュタルト崩壊してしまっているのです。
日曜日1は日曜日を2回過ごすわけですが、仮に日曜日1の過ごす日曜日を日曜日(1)、日曜日(2)とするならば、日曜日1にとって日曜日(1)と日曜日(2)がどう違っていたのか、どのようにして日曜日(2)を過ごしていたのかを知りたかったところです。また日曜日3はどのように日曜日(2)を過ごし、日曜日(2)の間の日曜日2はどのように映っていたのかを示して欲しかったところでした。