伊達巻

恋するアナイスの伊達巻のレビュー・感想・評価

恋するアナイス(2021年製作の映画)
5.0
本当に稀に人生の風向きを変えてくれるような映画に出会う、これはそれだった。ラストシーンのかけがえのなさ。これといって斬新なやり方ではないのに、それまでの(たまに退屈な)全てのシーンとのコントラストもあって、本当に特別に見えた。海辺の乳首も良いが、やっぱりあそこにぜんぶが詰まっていると思う。それはこの映画のぜんぶ、というか、もはやこれまでの映画体験や己の人生においてやぶれなかったものを、ついにやぶることができたような、そんな感覚さえあった。はしりすぎだよとか、いそぎすぎだよとか、奔放すぎるよとか、そういうなんとなくの距離感さえも飛び越えて、思い切り抱き締められたような気持ちになって、どうしようもなかった。ありがとうと言いたくなる。これほどの嬉し涙を流したことはない。たまたま個人的な心境に信じられないくらい重なってしまったこともありエンドロール泣きすぎて頭はじけとぶかと思った。花は散っても花だ。久しぶりにまた映画を撮りたいと思えたという意味でもめちゃめちゃ大切な映画になった。監督のインタビューも素敵で良かった。
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