reco

唄う六人の女のrecoのレビュー・感想・評価

唄う六人の女(2023年製作の映画)
4.3
面白い映画度 ★★★★☆
笑える映画度 ★★☆☆☆
深い映画度  ★★★★★
泣ける映画度 ★☆☆☆☆
良い映画度  ★★★★★
気付かせ映画度★★★★★★

訴える6人の女。
裏の裏の設定まで気付く事が出来ないと作品の本質が分からない、そんな映画です。

この映画を環境破壊への提唱がテーマだと思ってしまうと平凡な映画だと感じてしまうかも知れませんが、裏の裏の設定まで気付く事が出来るとこの映画の良さがおのずと分かって来ると思います。

早速この後はネタバレとなりますので、お気をつけ下さい。


まずは設定の解釈から。

萱島親子。
親から子供へは何も伝え切れてない主人公の萱島親子。
この社会において親から子供への簡単な伝言ゲームすら出来てない事に気付かされます。幼少期などは純粋無垢で昆虫や小動物、山や川などで遊ぶ事が楽しかったのに、成長していく過程で昆虫等には害虫と思えてしまったり、自然の中で遊んで得た知識や免疫力などの大切さを忘れてしまっています。

次にタイプの異なる2人の主人公。
聖人の様な萱島と煩悩の塊のような宇和島。
特に宇和島は人間の全ての欲望を満たそうとするタイプの人間で、環境だけでは無く、人間がそもそも愚かな存在だと言う事を表現していたと思います。
逆に萱島は、それらの事を気付いてない人間に対しての偶像的な存在として表現したと思われます。

6人の女。
6人の関連性を凄く理解するのに悩みました。でも実は7つの大罪の様な関連性は無く、この物語で訴えたいモノに対しての象徴だと私は解釈しました。
特に刺す女は代表的な存在で、一切喋らずに大切な事を常に気付かせようとした行動を取ります。人間の多くは他人から聞いた情報に左右され、本質を見抜けない事に対しての提唱のように感じました。
しっかり書くととてつもなく長くなるので他は簡単に。
水や森(緑)、空(空気)の大切さ。
命の儚さ。力による紛争の愚かさ。
などを表現してたのでは無いかと思います。

萱島の妻。
近代的に発達した現代の人間の象徴だと思います。何だか常に慌しく、直ぐにイライラし勝手に心のゆとりを無くし、穏やかに日々を過ごせてないと人間に対してのメッセージ的な存在なんだと思いました。

ラストの高層ビル群。
綺麗な森のシーンからの高層ビル群のシーンを観て、この映画の手法を読み解く事が出来ました。
とにかく無言で訴え、気付かせる手法なんだと言う事。
ラストが1番分かりやすかったです。

合ってるかどうかは分かりませんが、
この設定位を理解しようと思わなければ
この映画の本質は見抜けないと、まず思いました。
個人的には時折り出てくる蜂の存在の理解が難しかったです。
正しい道を進んでる時は蜂に導かれている事なのかなぁと?

もう一度見返して見ないと総括するのは難しいですが、この映画の伝えたかった事は
自然の大切さは当たり前であって
どうやったらその自然や地球を守っていけるのかを考えさせたかったんだと思います。
その為には資本主義の世の中。それが故に起こる戦争。それらに関わって無いと思ってる人々でも考え方や行動によって、変える事が出来る世の中である事。
その様な事を気づかせたかったのだと思います。
疲れたのでこの辺りでレビューは終了。
映画は世界へのメッセージを手取り早く伝えられるコンテンツなんだと改めて感じさせられた映画でした。
reco

reco