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ダミー男子のTSのレビュー・感想・評価

ダミー男子(2021年製作の映画)
2.6
【自分は何者なのか】60点
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監督:加嶋一哲
製作国:日本
ジャンル:SF
収録時間:62分
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 Instagramのダミー男子公式アカウントさんとご縁があり鑑賞させていただきました。忖度なしで、ということですので早速感想を述べさせていただきたいと思います。

 まず、この主人公八神の生業が面白い。タイトルからも分かる通り、この主人公はダミー、つまり身代わりを生業としているのです。成程、昨今ではレンタル彼女だの、多種多様な職業がありますが、いわゆる何でも屋に属するような生業があっても何ら不思議ではありません。実際、これを機にそんな職業があるのか軽く調べてみたところ、謝罪代行などがあるではありませんか。ネット環境が充実した今、すぐ依頼できる、引き受けれるわけですから、金になれば何でも出来るというわけです。なので、率直に言うと、そのあたりにおける八神の苦悩や葛藤をもっと掘り出していただければ、エンタメ要素もぐっとアップしたのではないかと思います。

 実は今作は中盤でがらりと展開が変わってしまいます。ここは恐らく賛否が分かれるところだと思います。ただ、僕は映画作品というのは、それを製作してきた方々の「財産」だと思っていますので、外野がとやかく言っても当事者にとってその価値は変わらないですし、変わるべきではないと思っています。監督をはじめ、製作陣がその方向性で行くのが良い!と判断されたのならばそれで良いと思うのです。ただ、個人的な感想を言わせてもらうと、八神が身代わり業をしながら何者なのかという答えを探し続け、シビアな社会の中でどうそれを乗り越えていくのか、という展開を見たかったかなと思いました。無論、この展開の方がCGを使う要素が増えますし、映画としては盛り上がると思います。そういう点で言うと成功だったと思われます。

 ところで、今作のハイライトは、ある人物が双子の兄の役を八神にお願いする場面でしょう。それまで身代わり業をしている割には、自分が何者かわからないからお世辞にもうまくできていない八神でしたが、この仕事においては徐々に本領を発揮していくのです。ダミー故に自分の存在意義は、、というもどかしさもあるのですが、人の役にたったという達成感があったことに違いないです。どんな仕事でもそうですが、誰かのためになった時、はじめて働きがい、やりがいを感じるものです。ぎこちない演出は敢えてのもので、ここを強調させるためなのかなと思いました。

 以上、製作陣の苦労もわからないまま、好き放題言ってしまい大変恐縮ですが、今回改めて鑑賞依頼をしていただいて嬉しく思いましたし、こんな感想文でほんの少しでもお役にたてたら何よりです。ありがとうございました。これからも応援しております。頑張ってください!
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